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不動産DXの必要性は?
業界における課題や導入するメリット、システムの効果を解説
日本でも各業界でDXが推進されており、不動産業界も例外ではなく不動産DXが進められています。不動産業界がDXに取り組めば、業界で働く方にも消費者にも良い影響が期待されます。
しかし、そもそも不動産DXとはどのようなものなのか、またどのようなメリットがあるのかよくわからない方もいるでしょう。
この記事では、不動産DXの必要性について疑問を抱いている方に向けて、不動産業界の課題やそれを解決できる不動産DXのメリットを紹介します。不動産DXで導入されるシステムや、システムを比較検討するためにおすすめのイベントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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不動産DXとは?
不動産DXのDXとは、「デジタルトランスフォーメーション」のことです。不動産DXをIT化と考えている方も少なくありませんが、実際にはDXとIT化は異なります。
IT化は、情報技術を用いて業務プロセスなどの効率化を目指すことです。一方、DXはデジタル技術でビジネスモデルそのものを変革させ、競争力を高めることをさします。
IT化は今あるものを情報技術の力で効率化し、DXは変革によって新たなサービスやビジネスモデルを生み出すことです。IT化を進めた先に、DXがあると考えられます。
不動産DXの推進状況
不動産DXの推進状況は、不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞の共同で行われた「不動産DXの推進状況調査 2024」を見るとわかります。本調査は、不動産関連事業に従事する方1,320名を対象として行われました。
本調査により、不動産関連事業に従事している方の中で、「DXを推進すべき」と考えている方は99.0%で過去最高になったとわかりました。
「DXに実際に取り組んでいる/いた・予定」と回答したのは64.9%、DXの取り組み期間が「3年以上」と回答した企業の割合は昨年より約10%増加しており、DXに取り組み続けている企業が増えたとわかります。
また、DX経験者の75%が効果を実感しているという結果になりました(※1)。不動産業界でもDXの取り組みは確実に進んでおり、今後も増えると予測されます。
不動産テックとの違い
不動産DXと似た言葉に、「不動産テック」があります。不動産テックは、「不動産」と「テクノロジー」を組み合わせた言葉で、不動産業界で使われるテクノロジー全般のことをさします。
不動産テックの具体的な例には、最新のテクノロジーを活用した新しいサービスの創出や、従来の商習慣を変革する仕組みなどがあります。
一方、不動産DXは、不動産テックのようなテクノロジーを手段として採用し、不動産業界全体のビジネスモデルや業務への取り組み方をデジタルの力で根本から変革する取り組みをさします。
つまり、不動産テックは不動産DXを推進するための手段のひとつと考えるとわかりやすいでしょう。
なぜ不動産DXが必要なのか?背景にある業界の課題
不動産DXの必要性が高まった背景には、不動産業界に蔓延する以下のような課題がありました。
- 業界特有の体質による長時間労働
- 人材不足
- 多様化した顧客ニーズへの対応
業界特有の体質による長時間労働
不動産DXの必要性が高まった背景にあるのは、不動産業界特有の体質からくる長時間労働です。
不動産業界ではアナログな商習慣が基本であり、紙ベースでの書類管理や電話でのやり取り、ファックスの利用、手書きの日報作成などが行われていました。
そのため、長時間労働が問題になっており、不動産DXを推進して業務効率化を進めなければならないという認識が高まりました。
人材不足
不動産DXの必要性が高まったのは、不動産業界が慢性的な人材不足にあるからです。日本は少子高齢化により生産年齢人口が減少しているため、多くの業界で人材不足が問題となっています。
厚生労働省が発表した「令和5年 雇用動向調査」結果の産業別の入職率と離職率を見ると、不動産業界の2023年の入職率は15.0%だったのに対し、離職率は16.3%と入職率を上回っています(※2)。
離職率が高い理由として考えられるのが、長時間労働の常態化です。顧客の都合にあわせて内見や契約、トラブル対応などを行うため、土日でも有給休暇を取りづらく、離職に繋がっていると考えられます。
人材不足に歯止めをかけるためにも、不動産DXによって労働環境を変えなければならないという認識が高まりました。
※2出典:厚生労働省「令和5年 雇用動向調査」
多様化した顧客ニーズへの対応
不動産DXの必要性の高まりには、顧客ニーズの多様化も関係しています。
不動産業界で働く側はアナログ作業が目立ちますが、顧客はパソコンやスマートフォンを活用するなど、オンラインを積極的に活用しています。
実際に、物件選びは店舗へ行かずにインターネット上で絞り込む、内覧や接客をWEBで受けるなどの希望が増えています。顧客ニーズに対応して利益を高めるためには、不動産業界もDXを進めなければならないという認識が高まりました。
不動産DXを推進するメリットとは?
不動産DXの導入により、以下のようなメリットが期待できます。
- 業務効率化が実現し生産性が向上する
- 労働環境が改善し人手不足を解消できる
- 顧客満足度が向上する
- 新たなビジネスを生み出せる
業務効率化が実現し生産性が向上する
不動産DXを進めると業務効率化が実現し、生産性が向上するのがメリットです。
システム連携により何度も同じ内容を入力する必要がなくなる、オンラインでどこでも日報を作成できるなど、DXにより業務効率化が進む事例が見られます。従来のアナログ業務をITで効率化できれば、短時間で成果を出せるようになり、生産性向上も期待できます。
実際に、不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞社の共同で行われた「不動産DXの推進状況調査 2024」では、DXの推進で得られた具体的な効果として「従業員の生産性の向上」を挙げた回答者は74.0%でした(※3)。
労働環境が改善し人手不足を解消できる
不動産DXにより労働環境を改善できれば、人手不足の解消に繋げられます。
アナログ作業をデジタル化すると、ひとつの仕事に必要な人数を減らせます。少人数で業務を回せば、人手不足問題を解消できるでしょう。
また、不動産DXによってルーティンワークをデジタル化すれば、従業員はスキルを高める業務に集中できます。若手人材の教育や育成にも時間を割けるため、人材の定着に繋がり、離職率を下げられます。
顧客満足度が向上する
不動産DXに取り組むことで、顧客満足度が向上するのもメリットです。
業務効率化によって顧客対応のスピードが高まれば、顧客満足度が上がります。また、店舗に足を運ばずオンラインで手続きを完結できれば、顧客の利便性が高まり満足度向上に繋がるでしょう。
不動産DXで手続きややり取りをデジタル化することで、取引先の利便性が高まり満足度が向上する効果も期待できます。
新たなビジネスを生み出せる
不動産DXの推進により、既存システムから脱却して新たなビジネスを生み出せます。
不動産DXは単なるIT化ではなく、ITを取り入れて既存のビジネスを変革し、新たな価値を生み出すことです。不動産DXにより新たなサービスやビジネスモデルを生み出せば、競争の優位性に繋げられます。
また、不動産DXによって既存システムから脱却できれば、2025年の崖と呼ばれる問題の解決にも繋がります。2025年の崖とは、既存システムが事業部門ごとに構築されて全社的に活用できない、過剰なカスタマイズのせいで複雑化しているなどが原因で起こる問題です。
既存システムから脱却できない場合はDXを実現できず、2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が生じるおそれがあります。経済損失を被らないためにも、DX推進の取り組みのひとつである既存システムからの脱却が必要です。
不動産DXを進める際のポイント
スムーズに不動産DXを進める際に大切なポイントは、主に以下の3点です。
- 最適な不動産テックを選択する
- 不動産DXに精通した人材を確保する
- DXを推進する目的を明確化する
続いて、それぞれ詳しく解説します。
最適な不動産テックを選択する
不動産DXを効率的に進めるためには、自社に最適な不動産テックを選ぶことが重要です。不動産DXは様々な領域が混在しているため、自社の課題や目的に適したツールを導入する必要があります。
まずは、現在の社内にどのような課題があるのかを明確にすることが大切です。その上で、明らかになった課題を解決するにはどのような不動産テックが有効かを検討し、必要な分野・ツールを選びましょう。
不動産DXに精通した人材を確保する
不動産DXを推進するためには、専門知識や経験を持つ人材が必要不可欠です。企業にとって最適な技術とツールを選定しても、使いこなせる人材がいなければ成果には繋がりません。
不動産DXに精通した人材を採用する他、既存社員を育成する必要もあります。採用や教育、外部パートナーとの連携など、人材確保にもコストがかかるため、どのような方法が自社に合っているか検討しましょう。
DXを推進する目的を明確化する
なぜ不動産DXを推進するのか、目的を明確にすることが大切です。DX推進で達成したいことや目指す成果などの目的が明確化されると、具体的な計画やビジョンも浮かびやすいでしょう。
従業員がDXの意義を理解できていないと、積極的に取り組めずうまく進まないケースもあります。各部署が目的を持つことも大切ですが、企業全体でDX推進の目的を明確化し共有することで、目的達成に近づきます。
不動産DXで活用できるシステムの例
不動産DXを支えるシステムは多岐にわたるため、一例を紹介します。
- 不動産管理システム
- 電子契約システム
- WEB接客システム
不動産管理システム
不動産管理システムは、業務に関わる膨大なデータを一元管理できるシステムです。
不動産業務は、物件情報や顧客情報、トラブル対応歴など豊富な情報を把握して対応しなければなりません。書面で管理すると確認に時間がかかり、管理場所も圧迫されます。
不動産DXで不動産管理システムを取り入れると、膨大なデータをデジタル化して管理できるので、速やかに情報を確認できます。情報が更新された場合も、関係者間で迅速に共有が可能です。
なお、不動産管理システムについては以下で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
電子契約システム
電子契約システムは、オンライン上で不動産の契約ができるシステムです。
不動産業界では、契約時の書類への押印が法律で義務付けられていましたが、2022年5月の宅地建物取引業法の改正に伴い押印の必要がなくなり、多くの契約がオンラインでできるようになりました。
物件の売買や賃貸借などの書類をオンラインで共有し契約できるようになったので、電子契約システムを取り入れれば遠方の顧客ともスムーズに契約が可能です。書類の作成や共有も速やかにできるので、電子契約システムによってDXが加速するでしょう。
不動産の電子契約システムについては以下で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
WEB接客システム
WEB接客システムは、オンラインで接客できるようにするシステムです。
従来、顧客は物件を選ぶために店舗へ足を運び内見しなければなりませんでしたが、WEB接客システムによって遠方でも気軽に内見できるようになりました。顧客と不動産会社の両方が、時間とコストを削減できます。
さらに、気軽に内見してもらうことで、見込み顧客の増加に繋がるというメリットもあります。
不動産DXを推進したいなら
JAPAN BUILDの「不動産テックEXPO」へ
不動産DXの推進により、長時間労働の是正や業務効率化、人材不足解消など不動産業界が抱える課題の解決に繋がります。しかし、自社で不動産DXを進めるためにはどのようなシステムを導入すれば良いか、わからないこともあるでしょう。
不動産DXを支える技術やシステムに興味がある場合は、JAPAN BUILDの「不動産テックEXPO」へ足を運んでみてください。
JAPAN BUILDの「不動産テックEXPO」は、不動産会社向けの電子契約やAI価格査定、仲介支援システム、集客支援、管理業務支援ツールなどの製品やサービスが出展する展示会です。
売買仲介会社や買取再販会社、建物管理会社、不動産オーナーなど不動産に関わる企業の方が幅広く来場します。
毎年2回東京と大阪で開催され、併催のセミナーでは業界の動向や各社の取り組みについて情報を得られます。不動産DXに関わるシステムなどを提供する企業も出展するため、悩みの解決に繋がるでしょう。
2024年の東京展には、不動産売買の手続きや情報管理をデジタル化する「レリーズプラットフォーム」を提供するGOGEN株式会社や、フェーズ管理機能や電子承認機能などを搭載したSalesforceアプリ「分譲オールワン」を提供するブリードイン株式会社、電子契約サービス「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコム株式会社などが出展しました。
また、2024年の大阪展には事業用不動産のテナント対応業務を効率化する「ラクビルTeX」を提供するラクビル株式会社、ノンデスクワーク業界の現場の生産性アップのための現場DXサービス「KANNA(カンナ)」を提供する株式会社アルダグラム、顧客管理や施工管理、書類作成などの機能を備えたサービスを提供する株式会社ミツモアなどが出展しています。
JAPAN BUILD「不動産テックEXPO」の詳細はこちら
出展をご希望の企業様は、こちらもあわせてご確認ください。
JAPAN BUILD「不動産テックEXPO」の出展について詳細はこちら
【展示会 開催情報】
<大阪展>会期:2025年8月27日(水)~29日(金) 会場:インテックス大阪
<東京展>会期:2025年12月10日(水)~12日(金) 会場:東京ビッグサイト
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不動産DXに取り組み業務効率化や顧客満足度向上を目指そう
不動産DXに取り組めば、不動産業界に蔓延する課題を解決できる可能性が高いです。業務効率化や人手不足解消、顧客満足度向上などのメリットがあるため、必要なシステムを導入して不動産DXを進めましょう。
不動産DXを支える技術やシステムに興味があるなら、ぜひJAPAN BUILDの「不動産テックEXPO」に足を運んでみてください。
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監修者情報
青井真吾
大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後独立し、人材派遣、不動産、自動車、ファッション、エネルギーなど多くの業界でDX推進などのITプロジェクトに従事。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、エンタープライズシステムの開発・導入を支援するITコンサルティングサービスを展開している。