▼この記事をシェアする
脱炭素社会に向けた企業の取り組みとは?
建設業界での事例も紹介
「脱炭素社会」や「カーボンニュートラル」の言葉はよく耳にするものの、実際に企業として何ができるのかわからない担当者も多いでしょう。
特に建設業界では、建築物のライフサイクルを通じた温室効果ガスの削減が重要な課題です。
この記事では、脱炭素社会の基礎知識や、建設業界で実際に行われている取り組み事例を解説します。建設業界に携わる企業担当者の方々は、参考にしてください。
【出展検討の方】
簡単1分で資料請求できます!
展示会パンフレット、
出展料金、会場レイアウトなど
脱炭素社会とは
脱炭素社会とは、CO2の排出を極力減らし、実質的な排出量ゼロを達成した社会です。似た言葉に「カーボンニュートラル」があります。
カーボンニュートラルはCO2の排出量と植林や脱炭素技術などによるCO2吸収量を同じにして、実質的な温室効果ガス排出量ゼロの状態をさします。
日本政府は2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと国際的に宣言しました。目標を達成するため、企業にも脱炭素社会に向けた取り組みが求められます。
カーボンニュートラルについては、以下の記事もご覧ください。
脱炭素社会が求められる理由
脱炭素社会が求められる理由は、以下の3つです。
- 異常気象を抑えるため
- 海面上昇を防ぐため
- 持続可能な社会を作るため
建設業界は、建築物の建設から使用を経て解体するまでのライフサイクルを通してCO2の排出量が多く、日本のCO2排出量全体の約3分の1を占めます。脱炭素社会を実現するには、建設業界の取り組みが必要不可欠です。
以下で詳しく解説します。
異常気象を抑えるため
異常気象を抑えるために、温室効果ガスを削減しなければなりません。温室効果ガスにより気温が上昇すると異常気象の頻度が増加し、自然災害や自然生態系への悪影響など様々なリスクが高まるためです。
例えば、オーストラリアでは50℃を超える過去最高気温が記録され、山火事の被害が広がりました。また、気温上昇による影響で、洪水や熱波、干ばつなどの災害が世界各地で発生しています。
今の状況が続くと日本の気候にも影響がおよび、2076年から2095年にかけて沿岸地域の大雨リスクが現在の2倍になると予測されています。
海面上昇を防ぐため
海面上昇を防ぐために、脱炭素社会への取り組みが必要です。
海面上昇は、地球温暖化によって氷河が溶けたり、海水が熱膨張したりして起こります。地域の洪水リスクが高まって、付近の住民の生活が脅かされています。
例えば、太平洋にあるツバルは「沈みゆく国」として知られ、地球温暖化による海面上昇が一因で国が水没するといわれています。海面上昇で起こる問題を防ぐためにも、温室効果ガスの削減で気温上昇を抑え、海面上昇を食い止めなければなりません。
持続可能な社会をつくるため
「持続可能な社会」をつくるために、脱炭素社会に向けた対応が必要です。持続可能な社会とは、地球の資源を無駄にせず環境を守りながら、現代と未来の世代が豊かに暮らせる社会を意味します。
気温上昇が続けば、農業や水産業に深刻な被害が出るだけでなく、河川の増水や洪水などにより命の危険も増すでしょう。豊かな生活と地球環境の保護を両立させるためには、脱炭素社会に向けた取り組みが必要不可欠です。
脱炭素社会に向けた具体的な取り組み
脱炭素社会を実現するためにできる、建設業での具体的な取り組みを紹介します。
- 建物を断熱化・省エネルギー化する
- 新たな動力源の建設機械を導入する
- ICTを導入する
- 節電する
なお、建設工事でのCO2削減の事例は以下の記事もご覧ください。
建物を断熱化、省エネルギー化する
建物の断熱化や省エネルギー化をすれば排出する温室効果ガスの量が減るため、脱炭素社会に向けた貢献ができます。
例えば、屋根や壁、床などに熱伝導の低い素材を使用する「外皮断熱」を施せば、空調を控えめにしても室内温度を快適に保てます。
さらに、効率の良い空調や照明システムを導入すれば建物全体で省エネルギー化ができ、CO2の排出削減に貢献できます。
新たな動力源の建設機械を導入する
新たな動力源の建設機械を導入すれば、脱炭素社会への取り組みが可能です。建設機械の燃料は軽油が主流ですが、温室効果ガス排出量の少ない、以下の新しい動力源の建設機械が登場しました。
- 電力
- バイオマス燃料
- 水素エンジン
特にバイオマス燃料は改造をほとんどせずに既存の建設機械で使えるため、比較的低コストで導入できるメリットがあります。
ICTを導入する
建設業ではICT(情報通信技術)を取り入れると作業効率が向上し、その分排出される温室効果ガスも減ります。
例えば、ドローンを用いた測量では、地盤の高さを効率的に測定でき、施工量の自動算出が可能です。
ICTの導入により実際に土工の作業日数が2週間近く短縮された例に加え、従来は必要だった丁張り設置が不要となり人員削減にも繋がります。
節電する
地道な節電の取り組みはエネルギー使用量を抑えるため、地球温暖化の抑制に繋がります。具体的な節電行動は、利用者の少ない廊下やトイレの照明の消灯や不要な空調の停止が挙げられます。
コストをかけて特別な機器や設備を導入する必要がないため、すぐにはじめられる点がメリットです。日々の小さな努力を積み重ねれば、企業全体のCO2排出量削減に繋がります。
脱炭素に取り組んでいる企業の実例
実際に脱炭素社会に向けて取り組みを行う企業の実例を紹介します。
- 大成建設株式会社
- 東急建設株式会社
- 八洲建設株式会社
大成建設株式会社
大成建設株式会社は「人がいきいきとする環境を創造する」サステナビリティ基本方針をもとに脱炭素社会に向けて取り組んでいます。
セメント使用量を抑えてCO2排出量を削減しつつ、通常と同じ強度と施工性を保持した環境に優しいコンクリートの開発を行いました。
自社グループが使用する電力を賄えるだけの再生可能エネルギー源の保有や再エネ、創エネ、省エネ関連技術の開発、普及促進にも取り組んでいます。
東急建設株式会社
東急建設株式会社は、長期経営計画「To zero, from zero.」を掲げ、脱炭素社会に向けた取り組みを推進している企業です。具体的な取り組みには、重機やダンプの非化石燃料化、建設資材の脱炭素化、木質建築事業の推進などが挙げられます。
2030年までに事業活動で使用する電力を全て再生可能エネルギーに切り替える目標を掲げ、実際に野心的な取り組みも行っています。
八洲建設株式会社
八洲建設株式会社は、持続可能な地域社会の実現を目指し、積極的な脱炭素施策を実施しています。
管理部門では経理データからCO2排出量を算出し、現場部門では重機の稼働時間をもとに排出量を把握しました。作業日報の電子化により、委託先業者と連携しながらCO2排出量を自動計算する仕組みを整備しました。
さらに現場部門では実際に担当者が現地に訪れ、燃費基準達成機械への切り替えや軽油代替燃料の使用などの目標を制定し、全ての現場で目標達成に向けて、意識向上の活動を積極的に実施しています。
温室効果ガス排出量の多い本社ビルのZEB化にも着手しました。
脱炭素社会への取り組みに関心があるなら
JAPAN BUILDの「建物の脱炭素 EXPO」へ
今後も豊かな生活を続けるために、脱炭素社会への取り組みは欠かせません。建設業界では建物の断熱化や省エネルギー化、ICTの導入、日頃の節電行動などで取り組めます。
脱炭素社会への取り組みに関心があるなら、JAPAN BUILDの「建物の脱炭素 EXPO」への来場がおすすめです。
JAPAN BUILDの「建物の脱炭素 EXPO」は、GXソリューション(グリーントランスフォーメーション)、太陽光、蓄電池、省エネ空調、省エネコンサルティング、サステナブル建材が出展します。
さらに、施設オーナー、ビル管理会社、商業施設や店舗の管理担当者、住宅メーカー、リフォーム会社などが来場する、建物の脱炭素化やカーボンニュートラルに特化した専門展示会です。
毎年東京と大阪で年2回開催しており、併催するセミナーでは最新の業界動向や各社の取り組み、出展社の製品や事例の紹介が行われます。
2024年の東京展では、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化の実現を支援するシルサーム・ジャパン株式会社や、建物のCO2排出量等の精緻な算定を可能にするソフトウェアを展示する住友林業 株式会社などが出展します。
2024年の大阪展では、カーボンニュートラルに向けた建材を幅広く展示するフクビ化学工業株式会社、日本の住宅事情や生活に寄り添った設計を心掛けるケィ・マック株式会社、環境を考慮した紙製品や機械を扱う日本マテリアル株式会社が出展予定です。
JAPAN BUILD「建物の脱炭素 EXPO」について詳細はこちら
出展をご検討の企業様は、こちらもあわせてご確認ください。
JAPAN BUILD「建物の脱炭素 EXPO」の出展について詳細はこちら
【展示会 開催情報】
<大阪展>会期:2025年8月27日(水)~29日(金) 会場:インテックス大阪
<東京展>会期:2025年12月10日(水)~12日(金) 会場:東京ビッグサイト
【出展検討の方】
簡単1分で資料請求できます!
展示会パンフレット、
出展料金、会場レイアウトなど
脱炭素社会に向けてできることから取り組もう
脱炭素社会とは、温室効果ガスの排出を極力減らし、実質的に排出量ゼロを達成した社会をさす言葉です。
建設業界では、日本全体のCO2排出量の約3分の1を占めるデータがあり、脱炭素社会への取り組みが急務です。日頃の節電行動など、できる取り組みからはじめましょう。
自社でカーボンニュートラルの取り組みを検討中なら、ぜひJAPAN BUILDの「建物の脱炭素 EXPO」への来場をご検討ください。
▼この記事をシェアする
監修者情報
(株)ローバー都市建築事務所 代表取締役 野村正樹
一級建築士 / インテリアコーディネーター / 宅地建物取引士 / 古民家鑑定士一級
同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。(株)NEO建築事務所を経て、2000年「ローバー都市建築事務所」設立。後に、京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。2006~2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回~第274回執筆掲載。
ローバー都市建築事務所の公式ホームページはこちら
https://www.rover-archi.com/