建設業界のカーボンニュートラルとは?
企業ができる取り組みを解説

カーボンニュートラルは世界的な流れで、日本国内でも多くの企業が対応を進めています。

しかし、自社でのカーボンニュートラルへの取り組みに悩む企業担当者も多いでしょう。特に建設業界では、建築物のライフサイクルを通じた温室効果ガスの削減が大きな課題です。

この記事では、カーボンニュートラルの基本的な考え方や、建設業界での具体的な取り組み、課題を解説します。カーボンニュートラルを自社に取り入れようと考えている企業担当者は、ぜひ参考にしてください。

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カーボンニュートラルとは


カーボンニュートラルとは、CO2の排出量と吸収量を同じにして、実質的な温室効果ガス排出量をゼロにする取り組みです。カーボンニュートラル実現のためには、温室効果ガスの排出を減らすとともに、温室効果ガス吸収の強化が重要です。

具体的な温室効果ガスの排出量の対策は再生可能エネルギーの利用や環境に配慮した経済活動などが挙げられます。温室効果ガスの吸収強化施策は、例えば森林管理や植林活動などです。

カーボンニュートラルは世界が一丸となって地球環境を守るための考え方であり、企業が積極的に取り組む姿勢が重要です。

カーボンニュートラルはなぜ必要?


カーボンニュートラルは、地球温暖化が原因の気候変動を防ぐために必要です。

環境省の発表によると、1850~1900年と比べて世界の平均気温は1.1℃上昇しており、現状のままではさらなる気温上昇が起こります。日本でも、100年あたり1.3℃の割合で平均気温が上昇していて、1990年以降は高温の年が増加傾向にあります。

気温上昇により、ゲリラ豪雨や猛暑などの異常気象が頻発し、農業や漁業、自然災害や健康被害など多方面にわたって深刻な影響をおよぼします。

様々なリスクに対処するため、日本政府は「2050年までに温室効果ガス排出を全体でゼロにする」と大きな目標を掲げ、以下2つの目標も公表しました。

  • 2030年度に温室効果ガス2013年度比26%減(2005年度比25.4%減)を目指す
  • 中長期的に温室効果ガスのさらなる削減努力を追求する

特に建設業界では、建築物のライフサイクルを通じて日本のCO2排出量の約3分の1を占めるデータがあります。

建物は一度建設されるとその後長く利用されるため、建物の使用中にもCO2排出量を削減できるよう、省エネルギー設備の導入や使用建材の工夫が必要です。

企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット


企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットは以下の4つです。

  • 長期的なコスト削減
  • 販路の拡大
  • 認知度の向上
  • 資金調達面での優遇

以下で詳しく解説します。

長期的なコスト削減

カーボンニュートラルに取り組むと、エネルギー使用の効率化や削減に繋がるため長期的なコスト削減が期待できます。

例えば、省エネタイプの照明や空調設備の導入や、太陽光パネルを利用して自社でエネルギーをまかなえば、エネルギー使用を効率化できます。

初期投資は必要ですが、その後の光熱費が削減されるため、長期的に見ると大きなコスト削減が可能です。

販路の拡大

カーボンニュートラルに取り組めば、販路の拡大に繋がる可能性があります。既にカーボンニュートラルに取り組んでいる企業は、取引先に対してもカーボンニュートラルの取り組みを求めるケースが多いです。

すでにカーボンニュートラルに取り組んでいる企業に、自社製品やサービスを紹介する際、カーボンニュートラルへの取り組みはアピールポイントになります。

特に、中小企業ではまだカーボンニュートラルが浸透していないため、いち早く取り入れれば競合との差別化ができます。

認知度の向上

企業がカーボンニュートラルに積極的に取り組めば、認知度の向上に繋がります。

先進的な事例として行政からの表彰を受けたり、テレビや新聞などのメディアに取り上げられたりする可能性が高まるためです。結果、企業や個人から興味を持たれるきっかけになり、業界での認知度が高まりやすくなります。

資金調達面での優遇

カーボンニュートラルに積極的に取り組む企業は、資金調達面での優遇を受けやすいです。

実際に金融機関では、カーボンニュートラルを目指す企業を積極的に支援する傾向が強まっています。

カーボンニュートラルに向けてできること


カーボンニュートラル達成のために、建設業界でできる対応を4つ紹介します。

  • ICTの導入
  • 建設機械の脱炭素化
  • 再生可能エネルギーの使用
  • 自社オフィスのZEB化それぞれの特徴や費用相場を解説します。

ICTの導入

ICTを導入するとカーボンニュートラルの推進に繋がります。

ICTとは、情報通信技術をさす言葉です。建設施工でICTを活用すれば作業効率を向上できるため、環境面に加えてコストや品質面でも合理化が可能です。

例えば「BIM/CIM」と呼ばれる3次元モデルを導入すれば、設計ミスの削減や構造のイメージが具体化され、発注業務や監督、検査が効率化します。

実際にICTを取り入れたところ建設機械の稼働時間が今までより2割も削減されたケースもあります。また、建物の維持管理でも点検データの蓄積により、より効率的かつ高度な管理が可能です。

建設機械の脱炭素化

カーボンニュートラルへの取り組みとして、建設機械の脱炭素化も挙げられます。

現在、建設機械の主な燃料は軽油ですが、建設機械の動力源を新たなものに替えれば脱炭素化を進められます。新たな動力源とは、主に以下の3つです。

  • 電力
  • バイオマス燃料
  • 水素エンジン

特に、バイオマス燃料への切り替えは取り組みやすい対応のひとつです。バイオマス燃料には廃食油や植物油を原料とした「バイオディーゼル燃料」や、天然ガスを原料とした「GTL燃料」が含まれます。

バイオマス燃料への切り替えなら建設機械の改造がほぼ不要なため、比較的低コストで燃料の切り替えが可能です。

再生可能エネルギーの使用

再生可能エネルギーの使用は、カーボンニュートラルに向けた取り組みです。

再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、地熱などの自然エネルギーを利用して発電された電気をさします。再生可能エネルギーはCO2をはじめとする温室効果ガスを排出しないため、環境に優しいです。

自社のエネルギー供給を従来のエネルギーから再生可能エネルギーに切り替えれば、地球環境の保護に貢献できます。

自社オフィスのZEB化

自社オフィスをZEB化すると、カーボンニュートラルを推進できます。ZEBとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略称です。再生可能エネルギーの利用や太陽光パネルの設置などで、年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指す建築物です。

ビルを新築する必要はなく、窓の改修や設備の更新などの対応を行えば、既存のオフィスでもZEB化を達成できます。

カーボンニュートラルの課題


カーボンニュートラルの課題は以下です。

  • 技術が追いついていない
  • 導入コストがかかる

以下で詳しく説明します。

技術が追いついていない

カーボンニュートラルの課題は、まだ技術が追いついていない点です。カーボンニュートラルに向けた建材や技術の開発は進んでおり、すでに市場に出回っている商品もあります。

しかし、まだ製品化が難しいものや、検証が十分でない技術も多く存在します。

例えば、電動の建設機械は電池性能や充電時間、充電設備が整わないなどの課題があり、軽油駆動の建設機械からの移行はあまり進んでいません。

導入コストがかかる

カーボンニュートラルへの取り組みには、導入コストが課題です。長期的にコストが削減できるとはいえ、カーボンニュートラル導入のためにコストをかけられるほど資金力のある企業ばかりではありません。

例えば、太陽光パネルの導入には1kWあたり26.2万円~26.9万円ほどの費用がかかります(2022年時点)。長期的にはコスト削減が可能ですが、初期投資を回収するまでに7年~12年ほどかかります。

しかし、最近では初期費用0円で太陽光パネルが導入できる「PPA」の契約形態も登場しており、コスト面でのハードルを下げる手段も増えました。

カーボンニュートラルの取り組みを検討するなら
JAPAN BUILDの「建物の脱炭素 EXPO」へ


カーボンニュートラルは、地球の気候変動を食い止めるためにも世界的に求められる取り組みです。今後、カーボンニュートラルの動きは加速し、世の中のスタンダードになると予想されます。

自社でカーボンニュートラルの取り組みを検討するなら、JAPAN BUILDの「建物の脱炭素 EXPO」への来場がおすすめです。

JAPAN BUILDの「建物の脱炭素 EXPO」は、GXソリューション(グリーントランスフォーメーション)、太陽光、蓄電池、省エネ空調、省エネコンサルティング、サステナブル建材が出展します。

また、施設オーナー、ビル管理会社、商業施設や店舗の管理担当者、住宅メーカー、リフォーム会社などが来場する、建物の脱炭素化やカーボンニュートラルに特化した専門展示会です。

毎年東京と大阪で年2回開催しており、併催するセミナーでは最新の業界動向や各社の取り組み、出展社の製品や事例の紹介が行われます。

2024年の東京展では、建物のCO2排出量等の精緻な算定を可能にするソフトウェアを展示する住友林業 株式会社や、カーボンニュートラルを実現するための省エネ・創エネ・再エネソリューションをご紹介するSCSK株式会社などが出展します。

2024年の大阪展では、カーボンニュートラルに向けた建材を幅広く展示するフクビ化学工業株式会社、日本の住宅事情や生活に寄り添った設計を心掛けるケィ・マック株式会社、環境を考慮した紙製品や機械を扱う日本マテリアル株式会社が出展予定です。

JAPAN BUILD「建物の脱炭素 EXPO」について詳細はこちら

出展をご検討の企業様は、こちらもあわせてご確認ください。
JAPAN BUILD「建物の脱炭素 EXPO」の出展について詳細はこちら

 

【展示会 開催情報】

<大阪展>会期:2025年8月27日(水)~29日(金) 会場:インテックス大阪

<東京展>会期:2025年12月10日(水)~12日(金) 会場:東京ビッグサイト

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カーボンニュートラルの取り組みやメリットを把握して自社に取り入れよう


カーボンニュートラルの基礎知識や、具体的な取り組み事例や課題などを紹介しました。

カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量と吸収量を同じにするためのもので、建築物はライフサイクルを通じて日本のCO2排出量の約3分の1を占めるデータがあり、特に建設業界で重要視されています。

自社でカーボンニュートラルの取り組みを検討中なら、ぜひJAPAN BUILDの「建物の脱炭素 EXPO」への来場をご検討ください。

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監修者情報

野村 正樹 (のむら まさき)
(株)ローバー都市建築事務所 代表取締役
一級建築士 / インテリアコーディネーター / 宅地建物取引士 / 古民家鑑定士一級

同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。(株)NEO建築事務所を経て、2000年「ローバー都市建築事務所」設立。後に、京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。2006~2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回~第274回執筆掲載。

ローバー都市建築事務所の公式ホームページはこちら
https://www.rover-archi.com/

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