給湯器の種類を徹底解説!
それぞれの特徴や失敗しない選び方、使用時の注意点も紹介

お風呂やキッチンなどでお湯を使う上で欠かせない給湯器は、多くの家庭や建物に設置されています。しかし、給湯器には様々な種類があるため「どうやって選べば良いのか」「種類ごとに何が違うのか」など疑問に思う方もいるでしょう。

この記事では、給湯器の役割や種類ごとの特徴、給湯器の選び方を解説します。給湯器を使用する上での注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

給湯器とは?


給湯器は、お風呂やキッチンなどでお湯を使うために欠かせない機器です。内部にタンクやボイラーがあり、そこに貯められた水を燃料で温める仕組みが採用されています。

家庭内で温かいお湯を使う場所は多く、給湯器は生活に欠かせないものです。

ガスや電気、石油など、何を燃料にしてお湯を作るかによって種類が分けられています。それぞれガス給湯器や電気給湯器、石油給湯器と燃料別に名前がついており、種類ごとに特徴が異なります。

給湯器の種類


一般的によく使われている給湯器は以下の6種類です。

それぞれ特徴が異なるため、以下で詳しく解説します。

ガス給湯器

ガス給湯器は、ガスを燃焼させて熱を作り出し、その熱で水を温める仕組みを採用しています。シンプルな構造で、お湯を作るスピードも比較的速いため、使いたい時にすぐお湯を出せる点が魅力です。

ガスの消費量は多くなりやすいですが、お湯を作る時のみガスを使うため、無駄な消費はしません。

ただし、寒い地域ではお湯を作るのに時間がかかったり、しばらく使っていないと配管が凍結したりする場合があるため、注意が必要です。

電気温水器

電熱ヒーターなど電気を使ってお湯を作り出す給湯器は、電気温水器と呼ばれています。電気代が安くなる夜間にお湯を作っておいて、日中の使用も可能なため、光熱費を削減したい場合にも向いています。

必要に応じて追加でお湯を沸かす「沸き増し機能」を搭載しているものなら、急に多くのお湯が必要になっても昼間に対応できるため、便利です。

また、火を使わない電気温水器は、燃焼音や排ガスのにおいが発生することもなく、快適に使用できます。

エコジョーズ

エコジョーズはガス給湯器の一種で、従来のガス給湯器が使っていなかった排気熱を再利用してお湯を作る仕組みです。

排熱を使うことでガスの使用量が従来のガス給湯器よりも少なくなるため、CO2排出量の削減に貢献します。

機能性が高い分、本体代金はガス給湯器よりも高くなる傾向にありますが、省エネかつ光熱費の削減に繋がるため、長い目で見れば家計にも優しい給湯器です。 

エコキュート

エコキュートは、ヒートポンプ技術を使って、空気中の熱を吸収し、その熱を圧縮してお湯を作る給湯器です。

再生可能エネルギーである空気の熱を使い、火を使わないためCO2排出量が大幅に削減され、環境にやさしい点が魅力です。

ヒートポンプ技術により、エネルギー消費が従来の電気温水器やガス給湯器の3分の1以下で済むため、運転コストが低減します。電気温水器と同様に、電気代が安い夜間にお湯を作って貯蔵し、日中必要な時に使うことが可能です。

エコキュートをより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:エコキュートはどんな仕組み?メリット・デメリットや選び方、市場の動向も解説

石油給湯器

石油給湯器は、名前のとおり石油(灯油)を燃焼させて熱を発生させ、その熱で水を温める給湯器です。ガスよりも早く水を熱するため、使いたい時にすぐお湯を使えます。

しかし、石油給湯器は灯油がなくなってしまうとお湯を作り出せないため、定期的に灯油の補充が必要です。灯油の残量管理と業者からの定期的な配達手配で、燃料切れのリスクを減らすことができます。

 

ハイブリッド給湯器

ヒートポンプ方式のエコ給湯器とガス給湯器の機能を組み合わせたものをハイブリッド給湯器といいます。

少量のお湯が必要な時はヒートポンプ方式を、なるべく早くお湯を使いたい時はガスなど、状況に応じてふたつの熱源を使い分けることで効率的に給湯できる仕組みです。

どちらの熱源も活用することで、エコ給湯器の低ランニングコストとガス給湯器の即時性の両方の利点を享受でき、使用感の快適さを維持しながら省エネを実現します。

 

失敗しない給湯器の選び方


給湯器を選ぶ際は、以下のポイントに注目しましょう。

  • 設置タイプで選ぶ
  • 搭載機能で選ぶ
  • 給湯器の号数で選ぶ
  • メーカーで選ぶ
  • 省エネ性能で選ぶ

それぞれ詳しく解説します。

設置タイプで選ぶ

給湯器にはいろいろな設置タイプがあります。

  • 壁掛けタイプ
  • 据え置きタイプ
  • 浴槽隣接タイプ
  • PSタイプ

壁掛けタイプは、外壁に掛けられるよう固定され、多くの住宅で採用されている一般的なタイプです。外から本体が見えないよう、カバーで覆われているものもあります。

地面や床に直接設置されている据え置きタイプは、ガスメーター付近や屋外に設置されるケースが多いです。

浴槽隣接タイプは浴槽への配管が2本あってお湯が供給される仕組みですが、現在の主流ではありません。

PSタイプは、パイプシャフトタイプの略で、設置スペースが限られているマンションなどに多く設置されています。給水管やガス管とともに、給湯器が壁内部に埋め込まれており、外から本体が見えない場合もあります。

一般的に、戸建ては壁掛けや据置きタイプ、マンションはPSタイプや壁掛けタイプが選ばれています。今どのようなタイプの給湯器を使っているかは、給湯器に貼られているシールに記載されています。

給湯器を買い替える場合は、現在設置されているものと同じ種類を選ぶことが基本です。すでにその給湯器用の配管になっているため、スムーズに設置できます。

別のタイプに変更したい場合は、別途工事が必要なケースもあるため事前に確認しましょう。

搭載機能で選ぶ

給湯器によって、搭載されている機能は様々です。給湯器に搭載されている機能は以下のとおりです。

  • 追い焚き機能
  • 自動お湯はり
  • 暖房機能
  • アプリとの連携
  • フルオート

自動でお湯はりをできる機能は、スイッチをひとつ押すだけで全自動稼働するため便利です。最近では、専用アプリと連携できるタイプも多く、外出先や家の2階などから操作してお湯はりができます。

メーカーによっては、独自開発の機能を搭載した給湯器を販売している場合もあります。求める機能が搭載されているか確認しましょう。

給湯器の号数で選ぶ

給湯器の号数で一般的なのは、16号、20号、24号の3種類です。号数は、1分間に水温+25℃のお湯をどれだけ給湯できるかを表しており、16号は16L、20号は20L使える意味を持ちます。

それぞれ同時に使えるお湯の量が異なり、数字が大きくなればなるほどたくさんのお湯を一度に使えます。号数の情報は、給湯器に記載されている型式の中に含まれていることが多いです。

号数と使用人数の目安は以下のとおりです。

  • 16号:1人
  • 20号:2~3人
  • 24号:3~4人

誰かが料理をしている時に誰かがお風呂に入るなど、浴室とキッチンで同時にお湯を使う機会が多いなら、20号以上を選ぶと安心です。一人暮らしで同時にお湯を使うことがあまりないなら、16号で十分快適に使用できます。

メーカーで選ぶ

給湯器を扱うメーカーの一例として、以下の3社があります。

  • リンナイ(Rinnai)
  • パロマ(Paloma)
  • ノーリツ(NORITZ)

リンナイ(Rinnai)は、エコジョーズやハイブリッド給湯器であるECO ONE(エコワン)などを手掛けており、省エネ性能に優れた給湯器開発を行っています。外観の美しさも魅力のひとつで、給湯器が外壁と調和するようカスタマイズも可能です。

パロマ(Paloma)の給湯器は、給湯専用や高温水供給など様々なタイプがあります。全てのモデルに独自の安全機能である「壁面火災防止装置」を搭載しており、従来よりも早く異常を検出できます。

ノーリツ(NORITZ)の給湯器は、ガス・石油・ハイブリッド・エコキュートと幅広く展開されています。清潔に使用できるよう「UV除菌」「スマート配管クリーン」などの機能があり、バスタブだけでなく配管まで綺麗な状態を保ちやすい点が魅力です。

メーカーごとに給湯器の機能や特徴が異なるため、比較して選ぶと良いでしょう。

省エネ性能で選ぶ

従来のガス給湯器の他、エコキュートやエコジョーズなどの省エネ性能に優れた給湯器も多いです。環境を考えて、省エネ性能にこだわって選ぶのもひとつの手です。

省エネな給湯器を選べばエネルギーの消費量を抑えられ、光熱費の削減にも繋がるため、家計にうれしい影響があります。ガスの使用量が減ると、ランニングコストを抑えて給湯器を使用できます。

給湯器を使う上での注意点


給湯器を使う際は、以下の点に注意してください。

  • 給湯器の寿命は約10年
  • 排気口と給気口はいずれも塞がない
  • 寒い地域では配管の凍結に注意

給湯器を長く使うために、注意点を押さえて給湯器を活用しましょう。

給湯器の寿命は約10年

給湯器の一般的な寿命は約10年といわれています。標準的な使用条件下でも、使用開始から10年を超えると経年劣化が起きやすいです。

安全に使用するためにも部品の摩耗や故障がないか確認しましょう。

また、万が一給湯器に不具合が発生したら、すぐに修理を検討してください。不具合があるまま使い続けると、予期せぬ故障やトラブルが発生する可能性もあります。

排気口と給気口はいずれも塞がない

給湯器についている給気口と排気口は、いずれも塞がないよう注意しましょう。壁や荷物などで塞がれている状態では、空気が正常に循環しません。着火や不完全燃焼により故障する恐れがあり大変危険です。

そのため、給湯器を設置する際は、周囲に壁や障害物がないかどうかもチェックしましょう。

また、故障を防いで安全に使用するために、排気口と給気口が塞がれていないか、定期的な確認が大切です。ほこりやゴミが詰まっていないかも確認し、清潔な状態を保ちましょう。

寒い地域では配管の凍結に注意

寒い地域では、使用中に給湯器の配管が凍結する恐れがあります。給湯器本体は安全装置が作動するため凍結を防げますが、屋外に設置された配管は影響を受けてしまいます。

急激な気温低下を原因とする凍結により、急にお湯が出なくなったり、故障したりする可能性があります。また、寒い地域以外でも、急な寒波の際は注意が必要です。

給湯器市場の動向


世界に目を向けてみると、アジア太平洋地域は給湯器市場で大半のシェアを占めています。給湯器の市場は2024年から2030年にかけてCAGR(年平均成長率)4.7%で拡大すると予測されています。

前述したとおり、給湯器の熱源はガスや電気、石油など様々です。どの熱源を使うかには地域差があり、暖房を使用する機会の多い寒い地域では石油、都市部では都市ガスなどが使用される傾向にあります。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、石油やガスを熱源とする給湯器の部材供給不足により、限定的ではあるものの生産・出荷に影響が出ました。その後部材供給不足の緩和によって、生産量は回復しています。

一方で、省エネや光熱費削減に効果的な電気温水器、省エネ給湯器のエコジョーズやエコキュートの普及が特に進んでいます。この背景には、導入促進のため政府によって行われた高効率給湯器に対する補助金制度もあるでしょう。

給湯器市場では今後も、特にエネルギー効率の高い給湯器の普及が進み、シェアはますます広がっていくことが予想されています。

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給湯器は、種類やメーカーによって特長が異なります。可能な限り見比べて選ぶと、建物にぴったりな給湯器が見つかるでしょう。

しかし、一度に様々な種類の給湯器を比較するのは難しいものです。

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2023年東京展では、ガス業務用給湯器・小型業務用エコキュートなどを手がける株式会社ノーリツなどが出展しました。

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【展示会 開催情報】

<大阪展>会期:2024年9月11日(水)~13日(金)  10:00~17:00 会場:インテックス大阪

<東京展>会期:2024年12月11日(水)~13日(金)10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)会場:東京ビッグサイト

 

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注意点を踏まえて後悔しないよう給湯器を選ぼう


給湯器は自宅やオフィスなどでお湯を使う上で欠かせないものです。ガスや電気など、様々な種類の熱源があり、商品ごとに特徴や使い勝手が異なります。使う人数や環境、求める機能などに応じて選びましょう。

給湯器の比較、販路拡大や新規導入を図るなら【高性能】建材・住設EXPOへの出展・来場をご検討ください。

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監修者情報

石橋優介建築設計事務所 代表 石橋優介
管理建築士/一級建築士

1984年 広島生まれ。2009年に広島大学大学院社会環境システム専攻 修士課程修了(建築意匠学研究室)。2009~2012年に株式会社plus’d,architect 一級建築士事務所、2012~2015年に株式会社鳳建築設計事務所、2015~2019年に株式会社あい設計を経て、2019年「石橋優介建築設計事務所」設立。

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