エコキュートはどんな仕組み?
メリット・デメリットや選び方、市場の動向も解説

環境にやさしい給湯システム「エコキュート」の導入件数は増えています。

しかし、様々なメーカーがエコキュートを取り扱っているため、「どういった違いがあるのか」「そもそもエコキュートを選ぶメリットは何か」など疑問を持つ方もいるでしょう。

この記事では、エコキュートの特徴や使用するメリットとデメリットを解説します。エコキュートを取り扱う主要メーカーや選び方、エコキュートの市場動向も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

エコキュートの特徴


エコキュートとは、ヒートポンプ方式を利用した環境にやさしい給湯器です。

火を使わずに、再生可能エネルギーである大気熱を使ってお湯を沸かす仕組みを採用しています。この仕組みはエアコンの原理と同じであり、熱を移動させることで効率的に温水を作り出します。

エネルギー消費が従来の電気温水器の3分の1以下で済むため、CO2の排出も大幅に削減できる点が特徴的です。また、省エネ効果が高く、環境負荷の低減に貢献できます。

エコキュートを使用するメリット


エコキュートを選ぶメリットは主に以下の3点です。

  • 省エネで環境にやさしい
  • 光熱費を削減できる
  • 非常災害時の生活用水として使える

それぞれ詳しく解説します。

省エネで環境にやさしい

ヒートポンプ方式を取り入れているエコキュートは、再生可能な空気の熱を利用してお湯を沸かすため、CO2排出量の削減に役立ちます。

一般的に家庭での給湯には多くのエネルギーが消費されるため、今使っている給湯器をエコキュートに切り替えると、省エネと環境への配慮を両立できます。

光熱費を削減できる

前述したとおり、エコキュートを使用するとエネルギー消費量を従来の3分の1以下に抑えられます。家庭で最もエネルギーを使う給湯器をエコキュートに切り替えると、光熱費の大幅な削減に繋がります。

エコに繋がる上、家計にもやさしい点は、エコキュートを使用するメリットのひとつです。光熱費の高騰による影響や冬場の高額な電気代に悩んでいる方は、エコキュートに変えることで家計にも余裕が生まれるでしょう。

非常災害時の生活用水として使える

エコキュートの貯蔵タンクに貯められたお湯は、非常時に生活用水として使えます。身体を拭く用、トイレ用、掃除する用などに使用できるため、もしもの時に活用できるでしょう。

日頃からエコキュートを使うだけで、自然と災害時への備えができます。

ただし、飲料水としては使用できないため、災害時でも飲用はしないよう注意してください。

エコキュートを使用するデメリット


エコキュートを選ぶメリットがある一方、デメリットとして主に以下の2点が挙げられます。

  • 設置するのに初期費用やスペースが必要
  • 飲用には適していない

それぞれ詳しく解説します。

設置するのに初期費用やスペースが必要

エコキュートを設置するには、設置工事費、エコキュート本体の価格などの初期費用がかかります。設置をすることで省エネに繋がり、光熱費を削減できるなどメリットが多いですが、設置にはある程度まとまった費用が必要な点を留意してください。

また、エコキュート本体を設置する場所にも注意が必要です。人が多い住宅地や隣接する住居との距離が近いと、稼働音が原因でトラブルになる可能性があります。

エコキュートを設置する際は、周囲に影響しないよう場所選びをしましょう。

飲用には適していない

前述したとおり、エコキュートのお湯は飲用に適していません。エコキュート内に貯蔵される水は、通常80度以上と高温な状態で温められますが、エコキュートのタンクで保存される間に、水道水に含まれる塩素が抜けてしまいます。

塩素が抜けた状態の水道水は、水道法に定められた飲料水としての水質基準を満たしていません。平常時、非常時問わず、飲用としての使用は避けた方が良いでしょう。

エコキュートの選び方


エコキュートを選ぶ際には、以下のポイントに注目しましょう。

  • 必要なお湯の量で選ぶ
  • 設置したい環境に応じて選ぶ
  • 搭載機能で選ぶ

ポイントをおさえてチェックすると、より最適なエコキュートを選べます。

必要なお湯の量で選ぶ

貯湯タンクの大きさはそれぞれ異なるため、使う人数やお湯の使用量などに応じて選びましょう。タンクの容量と適した使用人数の目安は以下のとおりです。

上記はあくまで目安ですが、4人家族なら370L以上など、使う人数に対応した容量を選ぶとより快適に使えます。

使用人数に対してタンクのサイズが小さいと、使っていて湯量が不足する可能性もあるため、適切な容量を選ぶことが重要です。

設置したい環境に応じて選ぶ

エコキュートには、一般地向けや耐塩害仕様、寒冷地向けなどのモデルがあります。それぞれ環境に適応できるよう作られているため、エコキュートを選ぶ時には設置環境に合ったものをチェックしてください。

気温がかなり低くなる地域での使用で一般地向けを選んでしまうと、凍結の恐れがあるため、寒冷地向けモデルが推奨されます。また、潮風の影響を受けやすい地域なら、耐塩害仕様のモデルが良いでしょう。

また、エコキュート本体を設置する場所を確保する必要があります。エコキュートは定番な角形タイプの他、薄型やコンパクトなど、設置場所が狭くても置きやすいタイプもあります。設置場所に応じて形状を選びましょう。

搭載機能で選ぶ

エコキュートはそれぞれ搭載されている機能が異なります。選ぶ際は、必要な機能が搭載されているか確認しましょう。

主な搭載機能には、以下があります。

  • フルオート
  • 足し湯
  • 保温
  • 追い焚き
  • さし湯
  • 自動洗浄
  • ミスト機能

また、自動でお湯はりができるオートタイプの他、給湯専用タイプもあります。使いやすい機能が搭載されているものを選ぶことで、快適に使用できるでしょう。

エコキュートを取り扱うメーカー5選


エコキュートを取り扱うメーカーは、主に以下の5社です。

  • ダイキン工業株式会社
  • パナソニック株式会社
  • 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
  • 三菱電機株式会社
  • 株式会社コロナ

エコキュートはメーカーによって種類や特徴が異なります。以下で各メーカーのエコキュートを解説するので、ぜひ参考にしてください。

ダイキン工業株式会社

空調専門メーカーであるダイキン工業株式会社は、ノウハウを活かしたエコキュートの開発を行っています。

UV除菌ユニットを使って菌を除菌する機能「おゆぴかUV」や、別売アダプターを使用することで0.001ミリ微細以下の微細な泡「ウルトラファインバブル」を活用した入浴が可能など、独自の機能も多く搭載しています。

ダイキンの貯湯ユニットは、丈夫で安全であるメーカーの強みからヒートポンプユニットだけの交換が可能です。故障しても貯湯ユニットはそのまま使用できるため、長く同じエコキュート本体を使えるでしょう。

パナソニック株式会社

様々な家電を手がけるパナソニック株式会社は、一般地向けや寒冷地向け、耐塩害仕様と幅広くエコキュートを展開しています。

センサーを活用した「AIエコナビ」や節水できる「リズムeシャワープラス」など、省エネ機能を搭載したものも多く、より省エネ性能を実感できます。「ぬくもりチャージ」を活用すれば、お風呂の残り湯の有効活用が可能です。

また、エコキュート専用アプリ「スマホでおふろ」を使えば、外出先や離れた場所からエコキュートを遠隔操作し、お湯はりや予約ができます。帰ってすぐにお風呂に入りたい時にも便利に使えるでしょう。

日立グローバルライフソリューションズ株式会社

日立グローバルライフソリューションズ株式会社が取り扱うエコキュートは、独自の技術である「水道直圧給湯」を採用しています。浴室と台所、2ヶ所で同時にお湯を出しても、高い水圧のまま使えて快適です。

その他、貯湯ユニットにお湯が冷めにくい構造の「ウレタンク」や、シルキー快泡浴用ふろ循環アダプターから微細な泡を発生させる「シルキー快泡浴」など、快適な入浴を叶える独自機能も多数ラインナップしています。

また「ナイアガラ タフネス」と呼ばれる種類のエコキュートは、タンクのお湯を熱源として繰り返し使用する独自構造により、カルシウムなどの流入を抑えて配管詰まりを防ぎます。

あらかじめ対策がされることで、故障のリスクを減らせます。

三菱電機株式会社

2001年に誕生した三菱電機株式会社の最上位モデルのエコキュート・Pシリーズは、2020年度省エネ大賞(資源エネルギー庁長官賞)を受賞しています。

他にも省エネ性能に優れたエコキュートを開発・販売しており、光熱費の削減にも大いに役立つでしょう。

フルオートタイプにマイルドと急速、2種類の追いだき機能をプラスしたダブル追いだき機能を搭載したモデルもあります。

入浴しながら温度を上げたい、なるべく早く温度を上げて入浴したいなど、用途にあわせて使い分けが可能です。

また、マイクロバブル入浴が叶う「ホットあわー」や配管を楽に掃除できる「ふろ配管自動洗浄バブルおそうじ」など、快適に使用できる独自機能が揃っています。

株式会社コロナ

株式会社コロナは世界ではじめて自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機エコキュートを販売した会社です。

給湯性能を高める「ES制御機能」の搭載が大きな特徴で、効率的かつ省エネでお湯の沸き上げや保温などができます。

コロナのエコキュートは、低騒音設計で稼働音が図書館の中程度と静かです。また、専用のアプリを使えば、外出先からお湯はりする遠隔操作や、家族の入浴状況を確認できます。小さな子どもの入浴時も安心できるでしょう。

通常のエコキュートの他、デザイン性に優れたデザインエコキュートや、1~2人向けサイズのエコキュートライトなども展開しています。

お湯を排出すると自動洗浄する機能も搭載されているため、お手入れや掃除の手間を省きたい方にも向いています。

エコキュート市場の動向


冒頭でお伝えしたとおり、エコキュートを導入している家庭や企業は増えています。

一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターによると、2023年8月末時点でエコキュートの累計出荷台数が900万台を突破しています。

また、エコキュートのIot化も急速に進んでいます。製品によっては外出先からお湯はり設定などの操作や、ふろ自動運転操作と連動して浴室や脱衣室の暖房の自動運転が可能なものもあります。

さらに、天気予報と連動して太陽光発電で電気を蓄え、警報や注意報の発令時にお湯を確保できるよう自動で湧き上げを続け、災害時の備えとして確保できる機能も開発されています。

より生活を豊かにする便利な機能が搭載されていることから、エコキュートの需要は拡大していると考えられます。

経済産業省が公表するデータによると、「ヒートポンプ給湯機の出荷数量」は以下のとおりに推移しています。

グラフのとおり、2011年の東日本大震災を機に一度エコキュートの出荷台数が減っているものの、その後は増加傾向に転じています。エコキュートの普及やシェア拡大は今後も進んでいくでしょう。

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前述したとおり、エコキュートには様々な種類があるため、比較をして選ぶ必要があります。しかし、一度に複数のエコキュートを比べるのは難しいものです。

エコキュートの比較をしたい方は、JAPAN BUILDの【高性能】建材・住設EXPOへの参加がおすすめです。

【高性能】建材・住設EXPOは、住宅設備、外壁材、内装材、断熱材、屋根材、床材、木材、フローリング、デザイン建材、サステナブル建材などが出展し、設計事務所、工務店、住宅メーカー、リフォーム会社が来場する建材・住宅設備の専門展示会です。

毎年東京と大阪での年2回開催で、多くの企業が出展し、活発な商談を実現しています。併催するセミナ-では各業界の第一人者による講演会などが行われるなど、まさに世界最先端が集う場所です。

2023年東京展では、様々な給湯システムの開発・販売を手掛ける株式会社ノーリツなどが出展しました。

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出展をご検討の企業様は、こちらもあわせてご確認ください。
JAPAN BUIRD【高性能】建材・住設 EXPOの出展について詳細はこちら

 

【展示会 開催情報】

<大阪展>会期:2024年9月11日(水)~13日(金)  10:00~17:00 会場:インテックス大阪

<東京展>会期:2024年12月11日(水)~13日(金)10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)会場:東京ビッグサイト

 

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メリットとデメリットを踏まえてエコキュートを検討しよう


空気の熱を利用してお湯を沸かすエコキュートは、電気消費量を抑え、省エネに繋がる給湯器です。消費エネルギーの削減と比例して光熱費も抑えられるため、家計にもやさしくお湯を沸かせます。

エコキュートはメーカーごとに様々な商品があり、特徴が異なります。搭載機能や設置する環境、使用する人数などに応じて選びましょう。

エコキュートの比較、販路拡大や新規導入を図るなら【高性能】建材・住設EXPOへの出展・来場をぜひご検討ください。

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監修者情報

石橋優介建築設計事務所 代表 石橋優介
管理建築士/一級建築士

1984年 広島生まれ。2009年に広島大学大学院社会環境システム専攻 修士課程修了(建築意匠学研究室)。2009~2012年に株式会社plus’d,architect 一級建築士事務所、2012~2015年に株式会社鳳建築設計事務所、2015~2019年に株式会社あい設計を経て、2019年「石橋優介建築設計事務所」設立。

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