MDF(中密度繊維板)とは? 他の木材との違いやメリット・デメリット、使い道や注意点を解説

MDF(中密度繊維板)は家具や住宅などに幅広く使用される木材です。温度差による寸法の変化が少なく、使い勝手が良く、仕上がりが綺麗になるなどのメリットがあります。

しかし、通常の木材とは違った特徴があるため、使いたい方はメリットだけでなく、デメリットも知っておくと良いでしょう。

この記事では、MDFのメリットやデメリット、規格や使用する際の注意点などを解説します。MDFの導入を検討している建材メーカーや外壁・屋根工事業者、リフォーム業者の方はぜひ参考にしてください。

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MDF(中密度繊維板)とはどんな木材?


MDFとは、繊維状にした木材を主原料とした板状の製品で、規定の品質を満たす物をさします。Medium Density Fiberboard(ミディアム・デンシティ・ファイバーボード)の略称で、日本語では「中密度繊維板」と訳されます。

MDFは、木材の原料チップを蒸煮(じょうしゃ)、解繊(かいせん)した物に合成樹脂を加えて成形します。

各国により規定が異なり、日本ではJIS(日本産業規格)で種類、サイズ、品質基準が区分されています。

MDFとファイバーボードの違い

ファイバーボードとは、木材の原料チップを粉状に繊維化してから成形した板の総称です。

MDFもファイバーボードの1種で、他にはインシュレーション・ファイバーボード(IB)やハードファイバー・ボード(HB)があります。

次の表は、MDFと他のファイバーボードの違いをまとめたものです。

JISによると、ファイバーボードの違いは密度です。MDFは中密度に対して、IBは低密度、HBは高密度です。密度によって用途が異なるため、利用する際は注意しましょう。

MDFとパーティクルボードの違い

パーティクルボードとは木材の原料チップを小片化して形成した板をさします。MDFを含めたファイバーボードとの違いは、以下のとおりです。

  • ファイバーボード(MDFを含む)…木材チップを繊維化して形成する
  • パーティクルボード…木材チップを細かく砕いて形成する

MDFは木材チップを繊維化した後に、乾式製法と圧熱を用いて板を形成します。パーティクルボードも小片化した後に乾式製法と圧熱を用いて形成するため、MDFと手順が近いです。

そのため、パーティクルボードのおもな用途は住宅の床や壁の下地材や、化粧板を貼って家具など、MDFと似ています。

ただし、パーティクルボードは木材チップを小片化しているため、MDFと違って断面が繊維ではなく、小片が見えます。

パーティクルボードはMDFに比べて断面が粗いですが、コストパフォーマンスに優れている場合があると覚えておきましょう。

MDFのメリット


MDFのメリットは以下のとおりです。

  • 温度差による寸法の変化が少ない
  • 使い勝手が良く耐久性があり、仕上がりが綺麗になる
  • 環境に優しく、リサイクル性が高い

以下で順番に解説します。

温度差による寸法の変化が少ない

木材は内部に含まれている水分や湿気が原因で、寸法が変化する場合があります。

保管状況や木材の種類によっては反ってしまうことがあるため、すぐに加工しなければなりません。

一方、MDFは温度差による寸法の変化が少ないため反りが発生しにくく、寸法安定性に優れている点が特徴です。

そのため、製品の安全性と耐久性が向上し、仕上がりの美しさを維持できるなどのメリットが得られます。

使い勝手が良く耐久性があり、仕上がりが綺麗になる

MDFは表面が滑らかなため、切る、塗る、そのまま使うなどが可能で、使い勝手が良い製品です。

また、製品によっては水分に強く、強い力で加圧されているので耐久性もあります。密度が均一なため、加工中に割れてしまう可能性も低く、木材加工経験が少ない方にもおすすめです。

他にも、繊維や表面、切断面が滑らかなため、仕上がりも綺麗になるなど、いくつものメリットを兼ね備えています。

環境に優しく、リサイクル性が高い

MDFなどのファイバーボードは、端材や間伐材、廃材などを用いた原料チップを使用しています。

ファイバーボードの材料にならなかった端材や間伐材などは、燃料用として燃やされるか、廃棄処分されるため、二酸化炭素や産業廃棄物を増やします。

つまり、MDFなどのファイバーボードは木材を無駄なく活用しているため、環境に優しくリサイクル性の高い素材で作られています。

MDFのデメリット


MDFのデメリットは以下のとおりです。

  • 商品によっては水に弱い
  • 商品によっては注意が必要

以下で順番に解説します。

商品によっては水に弱い

JIS(日本産業規格)によると、MDFの耐水性の区分は高い順に耐水2、耐水1、普通の3つに分かれています。

耐水2や耐水1は耐水性があり、構造用や水まわりに使うことが可能です。

しかし、普通は耐水性が低いため、濡れたり多湿な場所で使用したりすると劣化します。

また、メーカーによって用いる技術が異なるため、水に濡れたり多湿な場所で使用したりする場合は、塗装やコーティングを施してMDFの耐水性を高めましょう。

商品によっては注意が必要

MDFは原料チップを細かく砕いて接着剤で固めていますが、接着剤にはホルムアルデヒドが含まれています。

ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因となる化学物質のひとつです。量によっては健康被害が出るため、2003年以降は法律で規制されています。

しかし、商品によってはホルムアルデヒドが多く含まれており、建材として使用できないケースがあるため注意しましょう。

MDFの使い道


MDFは木材チップを繊維化して、乾式製法と圧熱を用いて形成したファイバーボードです。

他のファイバーボードに比べて密度が中程度で、木材の厚みが求められる家具に使用されるケースがあり、家具の扉やスピーカーボックスなどに用いられます。

住宅建材としては、床材や回り縁、巾木、窓枠、天井板、棚板など、多くの場所に使われている製品です。

特にMDFは加工のしやすさや見た目から、回り縁や巾木、窓枠などの調整や見た目の良さが重要な「造作部材」と呼ばれている箇所で使われます。

MDFの規格


MDFはJIS(日本産業規格)にて、種類、サイズ、品質基準が区分されています。次項より、MDFの規格を順番に解説します。

種類

MDFはJIS(日本産業規格)にて普通MDFと構造用MDFに分けられます。

一般的なMDFの密度は0.35g/cm³以上ですが、構造用MDFは0.70 g/cm³以上0.85 g/cm³未満となっており、建築材料用に密度が高いことが特徴です。

また、普通MDFは表面が素地の状態なら素地MDF、フィルムを接着したり、化粧を施したりしている状態なら化粧MDFと呼びます。

サイズ

MDFの標準サイズはJIS(日本産業規格)にて、次の表のように規定されています。

幅や長さで半端な数字が規格として採用されているのは、尺貫法(しゃっかんほう)の単位で測っていたものをミリメートルに直しているためです。

品質基準

MDFはJIS(日本産業規格)にて、曲げ強さや接着剤、ホルムアルデヒド放散量などの品質基準ごとに区分されています。

曲げ強さ

次の表は、曲げ強さによる区分をまとめたものです。

数字が大きいほど曲げの強度は高くなるため、曲面を作りたい場合は注意しましょう。

接着剤

次の表は、接着剤による区分をまとめたものです。

接着剤の種類でMDFの用途が異なるため、利用する際は確認しましょう。

ホルムアルデヒド放散量

次の表は、ホルムアルデヒド放散量の区分をまとめたものです。

ホルムアルデヒドは人の粘膜を刺激します。F☆☆☆☆(エフフォースター)等級の製品なら問題ありませんが、F☆☆☆等級やF☆☆等級では喉の痛みや咳、鼻水などが出る可能性があるため、什器や家具などに使用する際は避けましょう。

MDFを使用する際の注意点


MDFを使用する際は、次のポイントに注意しましょう。

  • 水や湿気対策を行う
  • 釘やビスを打つなら密度の高い層を活用する
  • 保管する際は置き方や置く場所に注意する

上記を順番に解説します。

水や湿気対策を行う

商品にもよりますが、MDFは耐水性が低いです。

水廻りに設置したり、湿気が溜まりやすい場所で使用したりするなら、シートを貼る、塗装するなどの防水処理が必要です。

また、塗装前にシーラー(目止め)とサンダーペーパーで研磨すると、防水性が高まり、綺麗な状態が長持ちしやすくなるため、試しましょう。

釘やビスを打つなら密度の高い層を活用する

MDFの厚さ方向の密度は、表裏層が高く、中心層は低いです。

そのため、面方向に釘やビスを打っても問題ありませんが、断面に打つと割れる恐れがあるため工夫が必要です。

例えば、中心層を使う場合は使用するビスや金具の数を増やしましょう。

保管する際は置き方や置く場所に注意する

MDFは耐久性があり、温度差による寸法の変化が少ないです。

しかし、置き方や置く場所によってはたわんでしまう場合があります。

湿気や日射などの周辺環境や自重によって曲がってしまう可能性があるため、MDFを保管する場合は壁に立てかけず、風通しの良い屋内に平置きすると良いです。

なお、MDFが曲がったり、たわんだりすると元に戻すのは難しく、加工の精度に影響をおよぼします。

MDFの販路拡大や導入を検討するなら
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MDFはJIS(日本産業規格)により種類やサイズ、品質基準などが区分されており、どれにすべきか迷う方もいるのではないでしょうか。

MDFの導入を検討し、様々な製品を比較したい方は、JAPAN BUILDの【高性能】建材・住設EXPOがおすすめです。

【高性能】建材・住設EXPOは、内装材、断熱材、外壁材、屋根材、床材、木材、フローリング、デザイン建材、サステナブル建材などが出展し、設計事務所、工務店、住宅メーカー、リフォーム会社が来場する建材・住宅設備の専門展示会です。

毎年東京と大阪で年2回開催しており、併催するセミナーでは最新の業界動向や各社の取り組み、出展社の製品・事例紹介が行われています。

2023年東京展では、3層パネル(現・ライナウッド)の生産を行う緑川木材 株式会社、「木材」を使った各種製品を取り揃えているHOKKAIDO WOOD(道産木材製品販路拡大協議会)が出展しました。

その他にも、建築解体木材や製材端材などを主原料とした木質資源を販売している大建工業 株式会社なども出展しました。

また、2023年大阪展では、木工製品の製造や販売を行う朝日木材加工株式会社、木材利用と木造住宅の生産技術に関する企画調査や研究技術開発を進める(公財)日本住宅・木材技術センターなども出展しています。

来場者は実際に製品を見て触れて比較検討ができ、出展側は決裁権限を持つ来場者に直接製品を確かめてもらえるので、自社製品・サービスが広く認知され商談のチャンスにつながります。ぜひ、出展や来場をご検討ください。

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出展をご検討の企業様は、こちらもあわせてご確認ください。
JAPAN BUIRD【高性能】建材・住設 EXPOの出展について詳細はこちら

 

【展示会 開催情報】

<大阪展>会期:2025年8月27日(水)~29日(金) 会場:インテックス大阪

<東京展>会期:2025年12月10日(水)~12日(金) 会場:東京ビッグサイト

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MDFは目的に応じた種類やサイズを選ぼう


MDFは温度差による寸法の変化が少なく、使い勝手が良い製品です。

JIS(日本産業規格)により種類やサイズ、品質基準などが区分されているため、目的に応じた商品を選ぶと良いでしょう。

なお、MDFの導入を検討する場合は、【高性能】建材・住設EXPOの出展・来場をご検討ください。

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監修者情報

(株)ローバー都市建築事務所 代表取締役 野村正樹
一級建築士 / インテリアコーディネーター / 宅地建物取引士 / 古民家鑑定士一級

同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。(株)NEO建築事務所を経て、2000年「ローバー都市建築事務所」設立。後に、京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。2006~2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回~第274回執筆掲載。

ローバー都市建築事務所の公式ホームページはこちら
https://www.rover-archi.com/

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