ガルバリウム鋼板の基礎知識を解説!
メリットとデメリット、屋根や外壁の張り方も紹介

近年、屋根材や外壁材として注目を集めているガルバリウム鋼板は、特にリフォームで高い人気を誇る金属製の建材で、住宅や商業施設の屋根や外装に広く使用されています。

耐久性や耐震性、デザイン性など多くのメリットを備えているため、外装メーカーや建築業界にとって魅力的な建材です。

以前まで金属屋根といえばトタンが一般的でしたが、現在では高性能なガルバリウム鋼板が主流となっています。ガルバリウム鋼板を導入すると、顧客に対して高品質かつ環境に配慮した外壁材や屋根材の提供が可能です。

この記事では、ガルバリウム鋼板の特徴やメリット・デメリット、屋根や外壁の張り方で変わる性能の違いなどを詳しく解説します。

また、記事の後半では、ガルバリウム鋼板の知識を効率よく習得する方法も紹介するので、導入を検討している建材メーカーや外壁・屋根工事業者、リフォーム業者の方々はぜひ参考にしてください。

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ガルバリウム鋼板とは?


ガルバリウム鋼板とは、アルミ55%、シリコン1.6%、亜鉛43.4%で構成された合金でメッキされた金属素材です。

JIS規格の正式名称は「溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板」で、1972年に米国のベスレヘムスチール社で開発されました。

ガルバリウム鋼板は金属素材でありながら錆びにくいなど、複数のメリットを持ちます。

そのため、多くの建材メーカーが様々な建築物の屋根材や外壁材として採用しており、国内の金属屋根や金属サイディングの主流となっています。

ガルバリウム鋼板のメリット


ガルバリウム鋼板のメリットは、以下の6つです。

  • 耐久性があり錆びにくい
  • 軽くて耐震性が高い
  • カバー工法が可能
  • シンプルで都会的なデザイン
  • 吸水しにくく凍害に強い
  • リサイクル可能で地球環境に優しい

以下で、それぞれのメリットを詳しく解説します。

耐久性があり錆びにくい

金属は錆びやすいイメージですが、ガルバリウム鋼板は錆びにくい特性を持っています。アルミニウムの耐食性と亜鉛の犠牲防食作用の二重の保護機構により、高い耐久性と耐食性(金属が腐食や錆びに対して耐性を持つ性質)の実現が理由です。

全く錆びないわけではありませんが、アルミやトタン(亜鉛めっき鋼板)などの金属素材と比べて錆びにくく、長期間、建物の外観を美しく保てます。

また、ガルバリウム鋼板は水に強いため、劣化により水を吸収すると変形する可能性がある窯業系サイディング(セメントに繊維質を混ぜた外壁材)よりも、メンテナンス周期が長いです。

そのため、トタンの数倍の耐用年数、窯業系サイディングよりも高い耐久性が期待できます。

それぞれの耐用年数は以下のとおりです。

ガルバリウム鋼板は環境要因によって耐用年数に差があるため、海岸地域や工業地域など厳しい条件下の場合は、より短い周期でのメンテナンスが必要です。

軽くて耐震性が高い

地震大国日本では、いつ地震が起こるかわからない危険性があるため、住宅などの建築物を建てる際に「耐震性」を重視する方が多いです。

屋根材や外壁材が軽量であるほど、建物の重心が下がって揺れが少なくなり、建物への負荷も減ります。その結果、耐震性が向上し、大きな揺れや倒壊のリスクも軽減します。

ガルバリウム鋼板は薄い金属製の板なので、外壁材の中でもかなり軽量です。厚みは1mm以下で、窯業系サイディングの約1/3の重さです。

カバー工法が可能

ガルバリウム鋼板は薄く軽量なので、カバー工法(既存の屋根や外壁の上に新しい素材を重ねて取り付け、建物の耐久性を高める工法)に適しています。

カバー工法は、古い屋根や外壁を取り外す手間やコストの削減につながり、施工期間も短縮できるため、屋根や外壁のリフォームにガルバリウム鋼板を希望する方が増加傾向にあります。

二重構造になるため、断熱性や遮音性の向上が期待できる点も人気の理由です。

シンプルで都会的なデザイン

ガルバリウム鋼板は、シンプル、モダン、スタイリッシュ、都会的などのイメージの外観が可能です。都会の街並みに溶け込む他、シンプルな外観は自然の多い郊外にも馴染みます。

ガルバリウム鋼板ならではの素材感や、色や形状によって変化する個性的な雰囲気も人気を集めています。

吸水しにくく凍害に強い

窯業系サイディングは塗膜が劣化すると吸水しやすい素材ですが、ガルバリウム鋼板は吸水しにくく凍害に強い点が特徴です。

寒冷地では外壁材が吸水した水分が凍結と溶解を繰り返すと、外壁材が凍害(ひび割れや崩壊)を起こす可能性が高くなります。

ガルバリウム鋼板なら、寒冷地でも凍害の心配はありません。雨水や湿気を吸収しにくいことに加え、カビや苔などの汚れが付きにくい点もメリットです。

リサイクル可能で地球環境に優しい

ガルバリウム鋼板はリサイクル可能な建材で、生産工程でのエネルギー効率に優れています。廃材の処分費用がかからず、環境に優しい建材です。

ガルバリウム鋼板のデメリット


錆びにくく耐震性にも優れているガルバリウム鋼板ですが、以下のデメリットもあります。

  • 費用が高い
  • 凹みやすい
  • デザインの種類が少ない
  • 錆びる場合がある
  • 断熱性・遮音性が劣る場合がある

以下で詳しく解説します。

費用が高い

ガルバリウム鋼板は、スレートや窯業系サイディングよりも、施工価格がやや高い点がデメリットです。価格の安さが重視される分譲住宅ではあまり採用されず、注文住宅で採用される場合が多いです。

とはいえ、ガルバリウム鋼板は耐用年数が長くメンテナンス頻度が低いため、ランニングコストを含めたトータルコストで見ると、優れたコストパフォーマンスを発揮します。

ガルバリウム鋼板の費用を下げるには、リフォームの際に重ね張りによるカバー工法がおすすめです。古い屋根材や外壁材を剥がしたり、廃材を処分したりする必要がないため、工期もコストも抑えられます。

凹みやすい

ガルバリウム鋼板は薄い金属板なので、外からの衝撃に弱く、凹みやすい点がデメリットです。

凹んだ部分を修理するのは難しいため、子どものボール遊びや、野球ボールの壁当てなどに気をつけましょう。

少し凹んだ程度なら機能性に問題はありませんが、不安な場合は、凹みにくいデザインや厚みのあるタイプがおすすめです。断熱材がクッションの役割をするため、断熱材一体型のガルバリウム鋼板を選ぶ手もあります。

デザインの種類が少ない

ガルバリウム鋼板は個性的な外観を演出できる一方で、窯業系サイディングに比べるとデザインの種類が少ない点がデメリットです。

とはいえ、シンプルなデザインが好きな方には向いています。

また、人気商品ほどカラーラインナップが豊富なため、メタリックや黒、ネイビーなど豊富なラインナップから好きな色を選べます。

錆びる場合もある

ガルバリウム鋼板は錆びにくい金属素材ですが、全く錆びないわけではありません。例えば、台風や竜巻などによる小さな傷や、加工時の切断面から錆びる場合があります。

また、排気ガスや鉄粉、錆びたネジ、もらい錆(他の金属製品から出た錆が付着する)も原因になり得ます。

水洗いや定期的なメンテナンス、傷の補修、塗装は不可欠です。

断熱性、遮音性が劣る場合がある

ガルバリウム鋼板はとても薄い素材なので、断熱性と遮音性が劣る点がデメリットです。

とはいえ、近年は多くのメーカーが断熱材と一体型のガルバリウム鋼板を取り扱っているため、問題がない場合が多いです。

断熱材と一体型のガルバリウム鋼板に加えて、屋根材と外壁材が二重になるカバー工法も行えば、さらに断熱性と遮音性の強化が期待できます。

ただし、断熱材が一体化されている分、価格が高くなる点に注意してください。

ガルバリウム鋼板はリフォームで絶大な人気を誇っている


ガルバリウム鋼板は、屋根材と外壁材のリフォームで圧倒的な人気を誇っています。理由として、前述のとおりカバー工法を採用できる点にあります。

ガルバリウム鋼板によるカバー工法は、外壁塗装よりも新築に近い仕上がりになり、古い屋根や外壁の処分費用がかからないなど、メリットが多い方法です。

従来のトタン屋根に代わり、錆が発生しにくいガルバリウム鋼板の屋根が幅広く採用されるなど、新築の屋根でも人気が拡大しています。新築の外壁も、シンプルで都会的なガルバリウム鋼板を選択する方が増えています。

ガルバリウム鋼板で屋根を張る方法


ガルバリウム鋼板の屋根の張り方には、「横葺き」と「縦葺き」の2種類が存在します。以下で詳しく解説します。

リフォームで主流の「横葺き」

横葺きとは、横長の鋼板を屋根の傾きに対して水平に貼る工法です。屋根の横方向に線が入った見た目で、リフォームでは横葺きが主流です。

段差を付けた存在感のある仕上がりの「段葺き」とフラットな仕上がりの「平葺き」に大別されます。

横葺きは色やデザインの種類が豊富で、複雑な形状の屋根にも対応可能です。「スタイリッシュな印象の屋根にしたい」「自分好みの色やデザインを選びたい」方には横葺きがおすすめです。

デメリットとして、複数の屋根材を重ねて葺くため、縦葺きに比べると雨水が流れにくい点が挙げられます。

屋根の重要な性能は雨水から家を守ることなので、リフォームを行う際には、雨漏りを防ぐために適切な屋根の勾配と防水性能の確認が必要です。

新築に多い「縦葺き」

縦葺きとは、長い鋼板を棟から軒先まで縦方向に貼る工法です。屋根の縦方向に線が入った見た目で、新築の場合は縦葺きが多いです。

屋根材の接合部分に心木(木材)を使用する「瓦棒葺き」、心木を使わず、2つの鋼板の両端を折り曲げて屋根材同士を接合する「立平葺き」などがあります。

立平葺きは、さらに板金の結合部を折り込んで固定する「縦ハゼ葺き」と、結合部をはめ込んで金属板を固定する「嵌合式」に分かれます。

縦葺きのメリットは、排水性が良いため雨水がスムーズに流れやすく、雨漏りのリスクが低減することです。

また、施工にかかる手間や日数が少ないことから、横葺きよりも費用を抑えられます。「コストを抑えたい」「雨漏りのリスクを減らしたい」方におすすめです。

デメリットは色やデザインの種類が少ない点です。

ガルバリウム鋼板で外壁を張る方法


ガルバリウム鋼板の外壁の張り方には、「横張り」と「縦張り」の2種類が存在します。以下で詳しく解説します。

雨水が上から下に流れやすい「横張り」

横張りとは、ガルバリウム鋼板を横方向に取り付ける方法です。横張りで使う縦胴縁(縦方向に取り付ける下地の胴縁)は通気性に優れており、雨水が流れやすい構造です。

梁に平行に取り付けることで水平ラインが強調され、建物に幅を感じさせる効果があります。カラーやデザインの種類が多いため、気に入ったものを見つけやすいでしょう。外壁の場合は、縦張りよりも横張りの方が費用を抑えられます。

デメリットは、縦張りよりも継ぎ目が多くなる点です。継ぎ目が原因で不具合が起こる可能性があります。

モダンでシャープな「縦張り」

縦張りとは、ガルバリウム鋼板を縦方向に取り付ける方法です。縦張りで使う横胴縁(横方向に取り付ける下地の胴縁)は、空気が通りにくく、通気性が悪くなりやすい点がデメリットです。

胴縁の間隔を短くしたり、通気溝胴淵(胴縁本体に空気が通る隙間がある木材)を使用したりすることで、通気性を改善できます。

とはいえ、縦張りの方が十分な通気層の確保が可能です。

シンプルかつモダンな外観で、商業施設など大型の建築物に取り入れられることが多いです。戸建てでも若い方を中心に人気があります。

ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法


ガルバリウム鋼板は錆びにくく耐久性に優れていますが、メンテナンスフリーではありません。

劣化で最も注意しなければならないのは錆です。錆が発生すると徐々に広がり、やがて雨漏りやシロアリの発生につながります。

以下で、ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法を解説します。

定期的な洗浄

ガルバリウム鋼板は、表面に塩分やホコリが付着したままにすると錆びやすくなるため、定期的な水洗いがおすすめです。

特に雨が当たらない箇所を定期的に水洗いすると、建物をできるだけ長期的に美しく保てます。

塗り替え

ガルバリウム鋼板は、10~15年を目安に定期的な塗り替えが必要です。

塗り替えが必要なガルバリウム鋼板の症状として以下が挙げられるので、注意してください。

  • 錆の発生
  • チョーキング(外壁を指で触った際に白い粉が付く現象)
  • 色あせ
  • 多くの傷

葺き替え、張り替え

ガルバリウム鋼板の劣化が下地の内部まで進んでおり、補修で対応しきれない場合は、屋根なら葺き替え、外壁なら張り替えが必要です。

屋根の場合、既存の野地合板が劣化や腐食している可能性があれば状態を点検し、必要な補修を行った後、新しい屋根材に交換する必要があります。

外壁の場合も同様に、下地材の状態を点検し、必要な補修を行った後に新しい外壁材に交換します。

ガルバリウム鋼板の販路拡大や導入を検討するなら
JAPAN BUILDの【高性能】建材・住設EXPOへ


ガルバリウム鋼板の導入を検討しているなら、JAPAN BUILD(ジャパンビルド)への参加がおすすめです。

【高性能】建材・住設EXPOは、屋根材、外壁材、内装材、断熱材、床材、木材、フローリング、デザイン建材、サステナブル建材が出展し、設計事務所、工務店、住宅メーカー、リフォーム会社が来場する建材・住宅設備の専門展示会です。

毎年東京と大阪で年2回開催しており、併催するセミナーでは最新の業界動向や各社の取り組み、出展社の製品・事例紹介が行われています

2023年の東京展では、新建材販売・外壁施工(窯業・金属)を行う「三和株式会社」、仕上げの外装材として、ガルバリウム鋼板の他、乾式タイルなどの重量物の施工も可能な「岩倉化学工業株式会社」が出展しました。

また、2023年の大阪展では、環境と自然に配慮した海外の建材を取り扱う「ブライトン株式会社」、外壁や屋根の工事、防水工事、および建物の板金工事の施工を行う「トゥインクルワールド株式会社」が出展しています。

その他、金属屋根の販売・改修・修繕工事を行う「株式会社 カナメ」などを含む多数の企業が出展しています。

来場者は多くの製品を実際に見て触れて比較検討ができ、製品の細かい点まで知ることが可能です。出展側は購入意欲の高い来場者に直接製品を確かめてもらえるので、自社製品・サービスの認知度が高まり、新規リード獲得・販路拡大のチャンスにつながります。

ぜひ、【高性能】建材・住設EXPOの出展や来場をご検討ください。

JAPAN BUILD【高性能】建材・住設EXPOについて詳細はこちら

出展をご検討の企業様は、こちらもあわせてご確認ください。
JAPAN BUIRD【高性能】建材・住設 EXPOの出展について詳細はこちら

 

【展示会 開催情報】

<大阪展>会期:2026年8月26日(水)~28日(金) 会場:インテックス大阪

<東京展>会期:2026年12月2日(水)~4日(金) 会場:東京ビッグサイト

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ガルバリウム鋼板を導入すれば他社との差別化が図れ、顧客満足度も向上する


ガルバリウム鋼板は、近年多くの建築プロジェクトで採用されている屋根材と外壁材のひとつで、金属特有の錆びやすさや耐久性の低さを軽減した素材です。

ガルバリウム鋼板を導入すると、他社との差別化が図れ、耐久性や耐震性、スタイリッシュな外観など様々なメリットがあることから、顧客満足度も向上するでしょう。

とはいえ、ガルバリウム鋼板にはデメリットや注意点もあるため、導入前の事前情報の収集が不可欠です。

ガルバリウム鋼板を含む様々な屋根材や外壁材に関する情報を入手したい方は、ぜひJAPAN BUILDの【高性能】建材・住設EXPOへの参加をご検討ください。

JAPAN BUILD【高性能】建材・住設EXPOについて詳細はこちら


監修者情報

野村 正樹 (のむら まさき)
(株)ローバー都市建築事務所 代表取締役
一級建築士 / インテリアコーディネーター / 宅地建物取引士 / 古民家鑑定士一級

同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。(株)NEO建築事務所を経て、2000年「ローバー都市建築事務所」設立。後に、京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。2006~2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回~第274回執筆掲載。

ローバー都市建築事務所の公式ホームページはこちら
https://www.rover-archi.com/

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