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ビルメンテナンスの仕事内容は?
業界が抱える課題や具体的な解決方法を解説
ビルメンテナンスは、ビルなどの建物を適切に管理する仕事であり、様々なビルが建設されている日本では欠かせない仕事です。ただし、業界にはいくつかの課題があるので、今後もビルメンテナンス会社で売上を高めるためには課題解決の方法を考えなければなりません。
実際にビルメンテナンス業務に従事している方の中には、ビルメンテナンス業界にどのような課題があり、どうやって解決するべきかわからない方もいるでしょう。
この記事では、ビルメンテナンスの仕事内容を改めて解説するとともに、業界が抱える課題や解決方法を紹介します。ビルメンテナンスの課題を解決するために知っておいてほしい情報も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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ビルメンテナンスの仕事概要と歴史
ビルメンテナンスは、ビルや商業施設などの建物の設備や施設そのものの維持管理をする仕事です。ビルなどの建物を安全かつ快適に、長期的に保てるように適切な管理が求められます。
日本のビルメンテナンス業は、終戦後にGHQが接収した建物の清掃を日本人が担当したことがはじまりとされています。戦後復興期に本格的にはじまり、高度経済成長によって急激に発展しました。
ビルメンテナンスの具体的な業務内容
ビルメンテナンスの業務内容は多岐にわたるため、現在従事している方でも自分の担当業務以外は詳しく知らないこともあるでしょう。ここで改めて、ビルメンテナンスの業務内容について解説します。
- 清掃管理業務
- 衛生管理業務
- 建物・設備保全業務
- 警備・防災業務
- 設備管理業務
- ビル管理サービス業務
清掃管理業務
ビルメンテナンスの清掃管理業務は、建物の内外を美しく保つ業務です。床の清掃に限らず、壁や扉、什器、備品などの立体にも注目しながら、美観や衛生を維持します。
ビルの用途や使われている建材により、清掃管理の方法は異なります。汚れを掃除する事後清掃から、汚れを防止する予防清掃に変わってきており、ウイルスや菌を持ち込ませない感染症対策にも繋がっています。
衛生管理業務
ビルメンテナンスの衛生管理業務は、ビル内の環境を衛生的に維持し、管理する仕事です。
ビルの衛生管理に関しては、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(建築物衛生法)に基準が定められており、実際に基準が守られているかを確認するための測定や点検を行います。
例えば、使用する水を貯めておくタンクの清掃や消毒が仕事です。また、二酸化炭素や一酸化炭素などの濃度や温度、湿度を測定する空調点検、ねずみやゴキブリなどの害虫駆除も業務に含まれます。
建物・設備保全業務
ビルメンテナンスの建物・設備保全業務は、建物全体の安全を守るための業務です。
建物の構造の点検調査や、建築設備の点検調査を行います。また、受変電・発電機械やボイラー設備、冷凍機設備などの保守や点検、検査、建物の空気循環の測定、飲料水貯水槽の清掃、水質検査なども業務に含まれます。
経年変化に応じた劣化や消耗などを厳しく確認し、異常があれば速やかに対処する重要な業務です。
警備・防災業務
ビルメンテナンスの設備・防災業務は、ビルや人の安全を守る仕事です。
警備員を常駐させて防犯や防火をしたり、防犯カメラの管理をしたりしています。また、火災などの災害が起きた時に被害が広がらないように、消防計画の立案や設備の点検を行います。駐車場の管理や運営も、警備に関する仕事です。
設備管理業務
ビルメンテナンスの設備管理業務は、ビル内の設備機器の運転や監視、点検、整備、保全などをする仕事です。
電気通信や空調、消防設備、エレベーターなどの点検や管理を行います。最近のビル内にある設備は人ではなく、コンピュータで管理されるのが一般的です。
ビル管理サービス業務
ビルメンテナンスの仕事には、マネジメント業務や管理サービス業務なども含まれます。
受付案内や利用者対応、電話交換、メールサービスなど、ビルの利用者を幅広くサポートする業務を行います。
ビルメンテナンス業界の現状と今後の動向
近年のビルメンテナンス業界は、急上昇や急落がなく比較的安定しています。
公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会が公開した「ビルメンテナンス情報年鑑2024 第54回実態調査報告書」によると、ビルメンテナンスの市場規模は2020年が4.5兆円、2021年が4.56兆円、2022年が4.63兆円と微増しています※1。
ビルメンテナンス業界は比較的景気の影響を受けにくい一方で、業界全体に蔓延する課題があるため、成長の鈍化は見られます。現状から推測すると、ビルメンテナンスの仕事が今後急激に衰退する可能性は低いものの、急成長するとも考えにくいでしょう。
ビルメンテナンス業界が抱える課題
ビルメンテナンス業界は比較的安定しており、市場規模を微増させていますが、課題を抱えているのは事実です。今後さらに会社を成長させるためには、以下の課題に向き合う必要があります。
作業員の高齢化
ビルメンテナンス業界は、作業員の高齢化が深刻な課題です。日本では現在多くの業界が少子高齢化の影響を受けていますが、ビルメンテナンス業界も例外ではなく、高齢者が多く働いています。
公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会が公開した「ビルメンテナンス情報年鑑2024 第54回実態調査報告書」によると、協会の会員である2,828人を対象とした調査において、ビルメンテナンス業の悩み事(複数選択)として2番目に多く挙がったのが74.7%の「現場従業員の若返りが図りにくい」でした。
地区本部別に見ると、「現場従業員の若返りが図りにくい」と答えた人の割合は東京が66.1%と比較的低かったものの、中部北陸は86.7%、東北は83.3%でした※2。
ビルメンテナンス業界の作業員の高齢化は、特に地方で深刻な問題だとわかります。
人手不足
ビルメンテナンス業界は、慢性的な人手不足に陥っています。
公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会が公開した「ビルメンテナンス情報年鑑2024 第54回実態調査報告書」によると、ビルメンテナンス業の悩み事(複数選択)の中で回答者が最多だったのが、90.5%が挙げた「現場従業員が集まりにくい」でした※3。
人手不足になると、既存従業員1人あたりの負担が大きくなり、さらに人材が離れる悪循環に陥ります。また、若手人材が不足しているため人材育成が追いつかず、マネジメント層が少ない状態であるのも問題です。
コスト高騰による経営悪化
様々なコストの高騰により経営が悪化している事業者が多い点も、ビルメンテナンス業界の課題です。
近年では、新型コロナウイルス感染症の流行やロシアのウクライナ侵攻などにより、エネルギーコストが高騰しています。物価高によるものの値段の高騰や、賃上げによる人件費の負担増加も見られます。
公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会が公開した「ビルメンテナンス情報年鑑2024 第54回実態調査報告書」によると、契約改定率は全体的に改善しているため、コスト高騰の一部は価格に転嫁できています。
しかし、賃金の上昇率に比べて契約改定率の上昇幅が少ないので、コストが増えた分を売上に転嫁できていない事業者が多いのが現状です※4。
新規需要の低下による価格競争の激化
新規需要が頭打ちで価格競争が激化しているのも、ビルメンテナンス業界に見られる課題のひとつです。
市場規模は安定していますが、新規のオフィスビルや商業施設が急増しているわけではないので、新規需要はそれほど伸びていません。そのため、ビルメンテナンス業者同士が価格を下げ、限られた案件を取り合う形になっています。
また、不況によりメンテナンスのコストを下げたいと考えるビルオーナーも多いので、既存の建物のメンテナンスでも価格競争が発生しやすいです。
ビルメンテナンス業界の課題の解決方法
ビルメンテナンス業界の課題を解決して会社を成長させるためには、以下の解決方法が有効です。取り入れられそうな方法がないか、参考にしてください。
ビルメンテナンス業務のIT化およびDX推進
ビルメンテナンス業務のIT化やDXを推進することで、人手不足の解消やコスト高騰への対策に繋がります。
デジタル技術を取り入れて業務を効率化すれば、従業員の負担が減って人材離れを防止できるでしょう。例えば、清掃や警備のロボットを導入する、遠隔で監視や管理ができるシステムを導入するなどの方法が有効です。
また、IT化やDXは、製品やシステムの導入が必要で初期費用はかかるものの、長期的に見ればコスト削減に繋がります。
外国人労働者の雇用
ビルメンテナンス業界の人手不足を解消するためには、外国人労働者の雇用も有効です。
日本人に限らず外国人も採用対象とすれば、労働力を確保しやすいでしょう。実際に、国は特定技能を持つ外国人が日本に滞在できる資格を追加しており、ビルクリーニング分野では特定技能の在留資格制度が運用されています。
外国人を雇用する際は、厚生労働省に届け出る必要があるため、厚生労働省の公式サイトで詳細を確認しましょう。
海外進出や既存ビルへのアプローチ
ビルメンテナンス業界では新規需要の低下が見られるため、海外進出や既存ビルへのアプローチを行うのも有効な解決策です。
都市化が進んでいる外国にアプローチすれば、新規需要を獲得できます。東南アジア諸国など、ビルメンテナンスの需要は高いものの技術が不足している国に進出しましょう。
予算的に海外進出が厳しい場合は、既存ビルに積極的にアプローチするのがおすすめです。高度経済成長期に建設された大量のビルでは、これから修繕や建て替えが必要になるため、メンテナンス需要は高まります。
ただし、価格競争は激化しているので、サービスに付加価値をつけるなどして選ばれる工夫をしなければなりません。
ビルメンテナンスの課題を解決したいなら
JAPAN BUILDの「ビルメンテナンスEXPO[大阪]」へ
ビルメンテナンス業界は比較的安定していますが、いくつかの課題があるのも事実です。
今後も会社の業績を高めるためには、ビルメンテナンス業界の課題を解決しなければなりません。DX推進や他社との差別化などを考えてみましょう。
ビルメンテナンスの課題を解決したいなら、JAPAN BUILDの「ビルメンテナンスEXPO[大阪]」へ足を運んでみてください。
2025年に新規開催される「ビルメンテナンスEXPO[大阪]」は、ビルメンテナンス業界の専門展示会です。
高圧洗浄機や清掃ロボット、ビルメンテナンス向けDXソリューションなどが幅広く出展します。ビルメンテナンス会社や不動産会社、ビルや施設のオーナーなどが来場します。
「ビルメンテナンスEXPO[大阪]」を開催するJAPAN BUILD-建築の先端技術展-では、建築・建設・不動産業界に関する様々な展示会を行っています。
2024年に開催したJAPAN BUILDには、公共インフラ施設の管理やビルメンテナンスの事業を展開するSSKファシリティーズ株式会社や、ビル管理に必要な機能をまとめたシステムを提供するダイキン工業株式会社などが出展しました。
ビルメンテナンスの課題解決に役立つ製品やサービスが展示されるので、ぜひ訪れてみてください。
JAPAN BUILD「ビルメンテナンスEXPO[大阪]」について詳細はこちら
出展をご検討の企業様は、こちらもあわせてご覧ください。
JAPAN BUILD「ビルメンテナンスEXPO[大阪]」の出展について詳細はこちら
【展示会 開催情報】
<大阪展>会期:2025年8月27日(水)~29日(金) 会場:インテックス大阪
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ビルメンテナンスの課題を解決して売上アップを目指そう
ビルメンテナンスはビルの安全や快適性を守るために欠かせない仕事なので、業界全体が比較的安定しています。ただし、作業員の高齢化や人手不足、価格競争の激化などの課題もあります。
今後の売上アップを目指すためには、DX推進や差別化などにより、ビルメンテナンス業の課題を解決しなければなりません。
課題解決を目指すなら、JAPAN BUILDの「ビルメンテナンスEXPO[大阪]」へぜひご来場ください。課題解決に役立つ製品やサービスに出会えるでしょう。
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監修者情報
野村 正樹 (のむら まさき)
(株)ローバー都市建築事務所 代表取締役
一級建築士 / インテリアコーディネーター / 宅地建物取引士 / 古民家鑑定士一級
同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。(株)NEO建築事務所を経て、2000年「ローバー都市建築事務所」設立。後に、京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。2006~2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回~第274回執筆掲載。
ローバー都市建築事務所の公式ホームページはこちら
https://www.rover-archi.com/