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住宅DXとは?
推進するメリット・デメリットや成功のポイントも解説
住宅業界ではDX化がトレンドです。しかし、自社で住宅DXを推進しようと考えている経営者や担当者の中には、住宅DXの具体的な施策や導入でどんな効果が期待できるのか、よくわからない方もいるでしょう。
この記事では、住宅DXの基礎知識やメリット・デメリット、具体的な施策事例を紹介します。自社に住宅DXを導入しようとしている住宅業界の経営者・担当者は、ぜひ参考にしてください。
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そもそも住宅DXとは
住宅DXとは、様々な業界で行われているDX(デジタルトランスフォーメーション)の中でも、住宅業界でのDXをさします。
DXとは、企業がAIやIoTなどのデジタル技術を活用して自社製品やサービスを強化し、さらには業務や組織のあり方まで変革させて競争力を高めることを意味します。
住宅DXの目的は、住宅業界全体の発展です。具体的には、業務の効率化と変革を促し、顧客サービスの向上や働き方改革・生産性の向上を実現します。
住宅DXはなぜ必要なのか
住宅DXが必要な理由は、住宅業界が以下のとおり課題を抱えているからです。
- 市場が縮小傾向にある
- 人材不足
- 業務が属人化している
- 資材の高騰
- 消費者の購買行動の変化
それぞれの課題に対して、DX化をするとなぜ効果があるのかを具体的に解説します。
市場が縮小傾向にある
住宅DXが必要であるひとつめの理由は、市場が縮小傾向にある点です。新築住宅の着工戸数は減少しており、市場拡大では利益を伸ばせない状況です。
そのため、DX化を促進し業務効率を上げて人件費を削減したり、競争力を高めて利益を上げたりしなければなりません。
人材不足
人材不足は住宅業界の大きな課題ですが、DX化でその課題を解決できます。住宅業界では特に、大工の高齢化が問題視されています。
住宅業界だけでなく、建設業全体で見ると、2022年時点で29歳以下の人材が11.7%と、他の産業に比べて若い従業員が少ない状況です。
IT技術を活用すれば人材不足を補えるため、業務の生産性・効率を向上できるDX化は必要不可欠です。また、DX化を進めれば「やり方が古い」「アナログ」などのマイナスイメージを払拭でき、若年層の雇用促進にも繋がるでしょう。
業務が属人化している
業務が属人的な点も住宅業界にDXが必要な理由です。住宅業界では業務が特定の担当者に依存していることが多く、業務の詳細をその担当者しか知らないケースも多いです。
このような属人化が進むと、生産性が低くなり、担当者がいないと顧客の対応ができず、顧客の信頼や満足度が下がってしまいます。
住宅DXを推進すれば情報共有を簡単にできるため、業務の属人化を解消して生産性・業務効率を向上できます。また、担当者が不在や変更の場合でもスムーズに対応でき、信頼を損なわずに済むでしょう。
資材の高騰
資材の高騰もDX化を進めるべき理由です。2025年2月時点で建設資材物価指数は上昇の傾向にあり、2015年に比べると30~40%ほど価格が上がりました。ウッドショックやウクライナショックなどの影響が資材高騰の一因です。
システムを活用して、作業効率を上げれば人件費の削減が可能です。人件費を削減できれば、資材コストが上昇しても利益を確保できます。
消費者の購買行動の変化
消費者の購買行動が昔に比べて変わったため、住宅DXを取り入れて変化に対応する必要があります。消費者の購買行動やコミュニケーション手段は、スマートフォンの普及をきっかけに大きく変化しました。
今後も生き残るためには、デジタルが当たり前となった世代に合わせたコミュニケーション方法を準備する必要があるでしょう。
具体的な施策は、チャットボットを活用した年中無休の問合せ受付や、自宅にいながら住宅見学できるバーチャル展示場が考えられます。
住宅DXを導入するメリット
前の見出しでは、住宅DXの必要性を解説しましたが、住宅DXを導入すれば企業側も様々なメリットが得られます。具体的なメリットは以下のとおりです。
- 業務を効率化できる
- 人材不足に対応できる
- 顧客の満足度が上がりやすい
それぞれのメリットを詳しく解説します。
業務を効率化できる
住宅DXを推進すると、業務を効率化できます。これまで手作業で行っていた大変な作業をデジタル技術で簡単に早く行えます。
例えば、請求や経費などの経理作業を手作業で行う場合、どうしてもヒューマンエラーが発生しやすいです。粗利の計算も時間がかかるため、案件ごとの利益が見えづらく、会社運営に支障をきたすケースもあります。
しかし、DX化して専用システムを導入すれば案件ごとのステータスがすぐにわかり、漏れやミスを削減可能です。また、粗利計算もシステム化で即座に確認でき、今後の計画や方針を立てやすくなります。
人材不足に対応できる
住宅DXを取り入れれば、人材不足に対応できます。先ほども紹介したとおり、DX化を進めると業務が効率化され、従業員の負担が減ります。
少ない人員でも仕事を回しやすくなるので、人が少なくても利益を出しやすいです。
顧客の満足度が上がりやすい
住宅DXを導入すると、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。例えば、AIを活用して顧客分析を行うと顧客のニーズを的確に把握できるため、より顧客の理想に近い住宅を提供・提案できます。
顧客満足度が高ければ、口コミで新たな顧客を獲得できたり、リピーターに繋がったりすることもあります。
住宅DXを導入するデメリット
住宅DXを導入する際には、以下のデメリットも存在します。
- コストがかかる
- 効果を実感するのに時間がかかる
- 人材育成の必要がある
それぞれのデメリットを詳しく解説するので、マイナス面も理解した上で住宅DXを推進しましょう。
コストがかかる
住宅DXを導入するには、コストがかかります。具体的な内容は以下のとおりです。
- システム初期費用
- システム使用料
- スマートフォンなどの端末代
DX化する上でデジタルツールの導入は必須なので、端末代やシステム導入費などの初期費用がかかります。
また、ランニングコストとしてシステム使用料も必要です。本当に自社に必要なシステムなのか、導入してどれくらいの効果があるのかはしっかり検討してから導入しましょう。
効果を実感するのに時間がかかる
DX化の効果を感じるまでに時間がかかります。その理由は、新しいやり方に慣れるまでは、従業員の業務効率が下がることが多いためです。
特に、年配の従業員はデジタルツールに馴染みのない方が多く、やり方が浸透するまでに時間がかかる場合があります。
効果を実感するには長期的な視点で見る必要があると理解しておきましょう。また、一度に全ての業務をDX化するのではなく徐々に進めれば、従業員の抵抗感が少なくなります。
人材育成の必要がある
住宅DXを推進すると、人材育成や教育にも労力が必要です。今までのやり方から大きく変わるため、従業員に新しいシステムや端末の使い方を教えて、慣れてもらわなければなりません。
特に、従来のアナログな方法に慣れている従業員は、DX化に抵抗感を示すケースもあります。従業員がDX化を受け入れるためにも、教育研修やフォローを充実させましょう。
住宅DXの施策事例を紹介
住宅DXの施策事例を以下の3つ紹介します。
- 住宅プレゼンVR
- 各種業務のデジタル化
- 住宅CAD
施策を詳しく知れば、自社で導入するイメージも湧きやすいです。それぞれ詳しく説明します。
①住宅プレゼンVR
住宅プレゼンVRは、ARやVR技術を活用して、実際にその場にいなくても住宅をバーチャルで体験できる技術です。
自宅からモデルハウスを見学できるため、遠くに住む顧客にも気軽に住宅を見学・体験してもらえます。時間に制約がないため、忙しい顧客にも対応可能です。
また、その場にいるかのような臨場感で顧客が家のイメージをつかみやすく、成約率の向上も期待できます。
②各種業務のデジタル化
各種業務をデジタル化し、効率化するのも住宅DXです。具体的には以下の業務のデジタル化が考えられます。
- 施工管理
- 顧客管理
- 集客・営業
- 見積もり・積算
紙や独自のExcelシートなどで管理した場合、紛失したり最新の情報がわからなかったりするリスクがありました。
デジタル化すれば最新の情報を管理・閲覧でき、業務にかかる手間を削減できます。また、情報共有がスムーズになるためミスの防止・削減にも役立つでしょう。
➂住宅CAD
住宅CADは、コンピューターを使用して設計や製図を行うシステムです。CADは平面図を描く2次元CADと、立体的に図面を描く3次元CADの2種類です。
特に3次元CADでは、作成した図面から資材の体積や表面積などの情報が自動計算され、部品の干渉部分を着工前にチェックできます。
設計段階で問題を発見できるため、資材の無駄削減や建設作業の効率化が可能です。設計中の建築物をあらゆる角度から確認でき、3Dモデルや試作品を作成するなど便利な機能が豊富です。
住宅DXを成功させるポイントとは
住宅DXの推進には様々なメリットがあると説明してきましたが、導入のやり方を間違えると失敗するケースもあります。
この見出しでは、住宅DXを成功させるためのポイントを4つ紹介します。
- DX化で達成したい目標を決める
- 一気にDX化しない
- 自社に合ったDX化を行う
- 顧客ニーズに合ったDX化を行う
住宅DXを推進しようと検討中なら、ぜひ参考にしてDX化を成功させてください。
DX化で達成したい目標を決める
住宅DXを進める前に、DX化で達成したい目標を明確にしてください。目標が定まらないままDX化を進めると、効果を実感しにくいです。目標を決めたら、その目標を達成するためのシステムを導入します。
例えば、「営業担当が顧客からの問合せ対応に追われる状態を解消し、営業活動に専念させる」という目標を設定した場合、AIチャットボットや顧客管理システムを導入すると良いでしょう。
一気にDX化しない
DX化を一気に推し進めるのではなく、段階的に取り組んでいきましょう。
業務のやり方が突然大きく変わると戸惑う従業員も多く、社内で混乱を招いてしまいます。まずは従業員が受け入れやすい部分から徐々にDX化を広げると社内に浸透しやすいです。
自社に合ったDX化を行う
DX化を進める際には、自社に合った方法で行いましょう。他社の成功事例をそのまま導入しても自社には合わない場合があるため、会社の規模や従業員の状況に応じて調整しながらDX化を進めてください。
特に、長年アナログな方法で仕事をしてきたベテラン従業員が多い場合、DX化に抵抗感を持つ方も多く、社内から反対意見が出る可能性もあります。誰でも使いやすくわかりやすいシステムを選び、教育やフォローを丁寧に行いましょう。
顧客ニーズに合ったDX化を行う
顧客ニーズに合わせたDX化も、成功のための重要なポイントです。ニーズに合わないDX化を行うと、顧客からの信頼を失う恐れがあります。
例えば、地域密着型で相談しやすい雰囲気が特徴の工務店がAIチャットを取り入れると、機械的で冷たく感じられ顧客が離れてしまいます。
DX化の際は顧客ニーズに合うかを考え、ニーズに沿わないDX化は導入しないなど、判断しつつ取り入れましょう。
住宅業界のDX化ならJAPAN BUILDの「住宅産業DX展」へ
住宅DXは業務効率アップや人手不足への対応など、様々な業務上の課題を解決する方法です。
しかし、間違って取り入れると顧客を失ったり思ったような効果が得られなかったりします。しっかりと製品の特徴を理解し、自社に適しているか検討しましょう。
自社のDX化を検討中の経営者、企業担当者の方は、JAPAN BUILDの「住宅産業DX展」への来場がおすすめです。
JAPAN BUILDの「住宅産業DX展」は、工務店、ビルダー、住宅メーカー、リフォーム会社などの専門家が来場対象の工務店・住宅業界DXの専門展示会です。
2025年から東京と大阪で新しく開催する予定で、併催するセミナーでは最新の業界動向や各社の取り組み、出展社の製品・事例紹介が行われます。住宅DXに興味がある方は、ぜひご来場ください。
また、今回新規展を開催するJAPAN BUILD-建築の先端技術展-では、建築・建設・不動産業界に関する製品が一同に出展しています。
過去には2024年の東京展で、ユーザー数51万人を誇るクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を提供する株式会社アンドパッド、照明、電動シャッターなどBluetoothによるワイヤレス制御を可能にするドイツ製システム「frogblue」の日本総代理店である株式会社マルチフプライスズディベロップメント、スマートホームソリューション、セキュリティソリューションを提供するDOORCOM株式会社が出展しました。
2024年の大阪展では、住宅会社の生産性向上に役立つクラウドサービスを開発・提供する株式会社ダイテック、住宅営業に最適なソフト・サービスを開発した株式会社コンピュータシステム研究所、戸建住宅の設計に特化した3次元CADシステムなど主に建築CADシステムの開発・販売を行う福井コンピュータアーキテクト株式会社が出展しました。
JAPAN BUILD「住宅産業DX展」について詳細はこちら
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【展示会 開催情報】
<大阪展>会期:2025年8月27日(水)~29日(金) 会場:インテックス大阪
<東京展>会期:2025年12月10日(水)~12日(金) 会場:東京ビッグサイト
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展示会パンフレット、
出展料金、会場レイアウトなど
住宅DXを推進しよう
住宅DXの基礎知識やメリット・デメリットを紹介しました。
住宅DXを導入するにはコストがかかったり従業員の教育が必要だったりとデメリットも存在しますが、うまく導入すれば大きな効果が期待できるでしょう。自社の従業員や顧客に合った形でDX化を進めることがポイントです。
JAPAN BUILDの「住宅産業DX展」では、担当者から直接話を聞いて相談できたり、製品の体験ができたりします。DX化を検討している住宅業界の担当者はJAPAN BUILDの「住宅産業DX展」にぜひご来場ください。
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監修者情報
青井真吾
大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後独立し、人材派遣、不動産、自動車、ファッション、エネルギーなど多くの業界でDX推進などのITプロジェクトに従事。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、エンタープライズシステムの開発・導入を支援するITコンサルティングサービスを展開している。